ガリレオの落体運動の実験と論証
『物理学とは何だろうか』(朝永振一郎著 岩波新書上下 2008年11月第50刷)を読んでいる。1979年5月に第1刷が出版されて、
50刷まで続いている。いかに多くの人に読まれてきたか、名著といっていいのだろう。
著者は単なる物理法則の結論を紹介するのではなく、それが生まれる過程や背景を一般向けに分かりやすく書いている。
これは著者が自分の専攻した学問の意味を、常に根本から反芻して考えてきたからであろう。初心を忘れていないのである。
この本の題名にもそれが表れている。説明が丁寧なのは、著者のきちんとした性格にもよるのだろう。
この先が理解できなくなる前に、ガリレオの落体実験の様子を
引用しよう。この部分は秀逸である。近代物理学はガリレオをもって始まるのであるが、その本当の功績を理解するためには、
中世まで何ら疑うことなく信じられてきたアルストテレスの運動論を知っておくことが必要である。ガリレオは自覚していた、
根拠もなく間違って信じられてきた中世までの考え方を打破することが、自分の使命であると。
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