/////////

出定後語 用語

HOME表紙へ 目次 巻の上 巻の下 漢文の基礎 用語

 

  なんと読ませるのか。訓読みでは「もとい・もと」音読みでは「き」土台・根拠の意味。ここでは、富永仲基のこと。仲基の基を指している。「わたしは」と訳すのがいいにではないか。
細席に   詳細に例をあげて説明すること。
因縁する   因とは果を生ずる親因であり果を生ずるための資助となるものを縁というのであるが、ここではたんに仏説のよってくる所を明らかにすることの意で用いられている。
屬籍すること無き   「屬籍」付属する所の典籍である。関係ある経典の意。
數个   数年の意。「个」[接尾]助数詞。数を表す漢語に付いてものを数えるのに用いる。「三—月」「五—条」「数—所」 [補説] 「箇」の略体「个」を「ケ」と略したところから、「三ヶ月」のようにも書く。この「ケ(ヶ)」は、「介」から出たかたかなの「ケ」と同形になっているが、起源は異なる。
頒󠄃白  (はんぱく)白髪が半分混じる。中老の人。 頒󠄃(はん)は、分ける。
側陋   身分の賤しい人。
夫の明者の部索して之を楔󠄃ふさぐ   「夫の明者」智慧の深い明らかな人。後世の学者。「部索」手分けして探し求める」「楔󠄃」この字に仲基自らカナをつけて「フサグ」つ打つ。塞ぐの意で、仏典に欠陥のあるところを塞ぎ補うの意である。後世達識の士をまって自分の説を補足することのあるを望むの意である。
大故   大喪のことであるが、ここでは、大名る事故の意か。あるいは肺疾であった自分の死を予想したものか。
衛世師外道   印度六派哲学の一なる勝論宗のこと。宇宙萬有を空間的に分析する唯物多元論である。即ち實(本体)、徳(属性)、業(作用)、同(共通性)、異、和合(物々間の固有性)の六区義を立て、その和が真解脱を生ずるというのである。
阿羅羅鬱陀羅あららうつだら阿羅羅あらら鬱陀羅うつだらのこと。阿羅羅は釈迦が婆迦仙人の許を辞し、次に鬱頭鬱仙人を訪問する途中、出離解脱の法を尋ねた仙人の名。鬱陀羅は、釈迦が出家して道を問うた仙人の名、始め阿羅羅に道を問い、次にこの仙人を訪ねた時、非想定を以て示したと伝えられている。鬱羅鬱については大智度論巻十七初百二十八禪波羅蜜中に詳説あり。
天を宗とせり   [天]多くの意義を有しているが、ここでは人間以上の勝妙の果報を受ける所、即ち六欲天、四禪天、及び四空處の諸天をいう。人間は修行の結果、天上に復活し得るとの信念所説を指す。
因果經に云く   過去現在因果經の略称、羅什の訳。苦行林一宿の章に「太子、既に此の如き苦行を見て即便ち跋迦仙人に問う、「汝等、今、此の苦行を修すること甚だ奇特なり。皆何等の果報をか求めんと欲する」。仙人答えて言く。「此の苦行を修するは天に生まれんと欲するがためなり」とあり。
釋迦文   「釋迦文(しゃかもん)」は主に「釈尊」を指す言葉で、サンスクリット語の「シャーキャムニ」の音写です。
二十八天非非想   [二十八天]三界にある天の総称で、即ち欲界の六天、色界の十八天、無色界の四天、合わせて二十八天である。[非非想]非想非非想天のこと。三界の最上位、無色界の第四天のこと。この天に生ずるものは下地の如き*想なきを以て非想、又は非有想と云う。外道では此處を真の涅槃処としている。///
無所有   [無所有]無色界の第三天で無所得即ち空の異名である。空は無辺であると観じて空を破した人が、更に識が三世にわたって無辺であるを厭い、所縁共に所有無しと観じ、この行力によって生まれるところである。
識處   無色界の第二天。前地の空が無辺であるを厭い心を転じて識を縁じ、識と相応じ心定まりて動かず、三世の識悉く定中に現じて清浄寂静なる果報を云う。
生天   生天説である。人間が死して後、修行苦行の深浅によって上天に生まれ得るとの説。
竺民   インドの民。
曰く、儒佛の道も亦猶是のごとく也。皆善を樹つるに在るのみ。然るに其の道の義を細席に因縁するに至りては、則ち豈に説無きことを得ん乎。即ち屬籍すること無きこと能はざるなり。是に於てか出定成りぬ。
① これらによって、儒教も仏教もそれぞれの道は、みな善をなすことにつきるということがわかった。そして、その(仏教の)道の意義を詳しくたどると、まさに仏説ではないことがわかり、(仏教の教えに直接)関係ある経典がないことがわかったのである。このことによって出定という考えが成立するのである。(『現代仏教名著全集 出定後語 中村元・増谷文雄編 隆文館 京戸慈光 訳・編集』)
②これによって、「儒・仏の道もまたやはり同じようなものだなあ、みな善を樹立することを目的としているだけだ」と思った。しかしそれにもかかわらず、この考えについて、道の心(義)を詳細な例証に求めるという段になると、そのときはなにも説明を要しないとは限らない。そのときは関係の出典を示さないわけにはいかない。こうして『出定後語』が出来あがったのである。(日本の名著 富永仲基 石田梅岩 加藤周一編 訳者の記載なし) 
③上記②にまったくおなじ。(『天才 富永仲基』釈徹宗著) //
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///
///   ///

HOME表紙へ 巻上 巻中 巻下
公開日2025年11月1日