法華経を注文する


聖書は読んだ
少なくとも福音書は何度かくりかえし
そこでイエスの声を聞いた・・・

阿含経も読んだ
釈迦の説いた教えに限りなく近いと言われる
そこで釈迦の歩く姿を見た・・・

ようやく読もうと思った
諸経の王と賞され
大乗の精華といわれる
法華経

聖徳太子は
海を渡って将来したばかりのこの経を読み
いち早く自分で注釈書を書いた
そして最澄が比叡山を開いて根本経典にすえて以来
われらが祖師たちは
皆これを読んで真理を捜し求めたのだ
市井の人々も
多くこれを聞いて信じたのである
ほかのどんな国でこの経がこんなにも受け入れられただろう
この経はとりわけ日本人の心情に合っているのだろうか
それともほかに久遠の真理を伝えると称するものがないゆえに
ただそれゆえに
この経を学んできたのであろうか

時代は人を変え
人は環境によって変わるもの・・・

帰りの電車の中でも
全然眠くならず
妙に興奮して
注文書のお客様控を眺めている

二〇〇八年七月

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