西口広場にて

横浜駅構内の通路を抜けて
自動的に外へ出る

西口広場は
もう夕暮れだ
人々はそれぞれ自分の処に帰るのに忙しい

世の中には悲しいことが一杯ある

地球は
雑多な人間たちを乗せ
秒速三十キロのスピードで
暗くまがった空間のなかを滑ってゆく

善悪もなく
好嫌もなく
悲しみは悲しみのまま
芥子粒ほどの
喜びは喜びのまま

二00六年八月記
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