光は粒子のように振る舞う
波なのか、粒なのか
光が粒子として振る舞っていることは、次のような実験でも確かめられている。光電効果を利用して光の信号を音の信号に
変える装置があるのだが、この装置に薄暗い(つまり光子の数の少ない)光を照射してやる。するとスピーカーからは「カリッ、
カリッ、カリッ・・・」というような不連続音が出てくる。決して「ガアー」とか「ピー」というような連続音ではない。これは
とりもなおさず、光がこの装置と反応するとき、粒子として振る舞っていることを意味している。一個の光子が「カリッ」という
一つの音に対応しているからである。
しかし、光が小さな穴や細いスリットを通過する際の回折(かいせつ)現象は、光が波として振る舞わないかぎり説明のしようがない。
これを「光の波動性」という。
光電効果も回折現象も、人間がそのような装置を用意してはじめて現われる現象である。したがって光が粒子(光子)として
振る舞っているのか、波として振る舞っているのかを決定づけるのは、あくまでも人間(による観測)である。
では、この世に人間が一人として存在していなかったら(光を観測するものが誰もいなかったら)、光は粒子として
振る舞っているのか、波として振る舞っているのか?次章で紹介する量子力学によれば、誰にも見られていないときの光は、
波として振る舞っていることになっている。
いずれにせよ、この光の粒子性と波動性が、量子力学を産むきっかけとなった。光の粒子性はアインシュタインによって
唱えられたのであるから、アインシュタインはまぎれもなく量子力学の創始者の一人である。
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