光は粒子のようのふるまう
光電効果
どんな物体でも膨大な数の原子からできている。一個の原子はその中心に核があり、その周りにいくつかの電子がまわっている。
電子はマイナスの電荷を持っている。核の中にはプラスの電荷を持ついくつかの陽子は入っている。したがって、電子と核の
間には電気引力が働き、電子は核のまわりから逃げさることができない。電子は原子の中で束縛されているのである。
銅やアルミニウムなどの金属は、一般に電気をよく通すことが知られている。なぜ金属は電気をよく通すのか?それは
金属内では、各原子から一個の電子が電気引力の束縛から離れて、自由に振る舞えるようになっているからである。原子内で
その一番外側をまわっている電子は核による束縛がゆるいので、比較的簡単にその束縛を断ち切ることができるのある。
このように自由に振る舞う電子は「自由電子」と呼ばれている。金属内では膨大な数の自由電子がうようよしている。
当然、自由電子はマイナスの電荷を持っている。金属内でこれらの自由電子すべてがある特定の方向に動くと、いわゆる「電流」
になる。電流とは電荷の流れである。
何度も言うように、光はエネルギーを持っている。そのため光を金属面に当てると光は金属内に入り込み、光のエネルギー
をもらい受けた自由電子が金属の外に飛び出てくる。この現象は「光電効果」として知られている。
光電効果の説明
実験的に観測される光電効果は次のような特徴を持っている。
1 光電効果は光の色に敏感であり、光の色によってはどんなに明るく(強く)しても電子が
金属から飛び出てこない場合がある。光の色はその周波数によって決定されるので、光電効果は光の周波数に左右される。
2 光電効果の結果、金属からあるスピードを持って電子が飛び出してくる。飛び出る電子のスピードは、光の色によって
異なる(赤い色の光では金属から飛び出た電子のスピードは小さく、青色の光ではスピードが大きい)。
3 金属に当てる光を強く(明るく)すると、金属から飛び出る電子の数は多くなる。
4 光が金属に当たると、間髪を入れずに電子は飛び出してくる。光が金属に当たった瞬間と電子が飛び出す瞬間との間に
時間のずれがない。
以上の事柄はすべて観測事実に基づくものである。ところが光が波であることを前提にすると、これらの事実は説明できない
のである。
たとえば4番目の「光電効果は瞬時に起こる」は、光が波であるとするとまったく説明のしようがない。光はエネルギーを
持っており、相手にそのエネルギーを伝える。ここまではよい。しかし、光が波であるなら、そのエネルギーの増え方は連続的
でなければならない。電磁波にかぎらず、波のエネルギーというものは連続的に増減するものだからである
光が金属内のある特定の電子に当たったとしよう。光が波であるとすると、光から電子にエネルギーが連続的に加わる。
その電子には、バケツに水を貯めるときのように、徐々にエネルギーが貯えられていく。電子にある程度のエネルギーが蓄積
しないなぎり、金属の外に飛び出すことはできない。電子が金属の外に飛び出せるほどのエネルギーが蓄積するまでには、時間が
かかる。だから、光が金属に当たった瞬時に電子が外に飛び出すなどということは起こりえないなずなのだ。ところが現実には、
光が金属に当たった瞬間に電子が飛び出すのである。
また、1番目の「光電効果は色に左右される」ということも、光を波として扱うと説明がつかない。たとえば、赤い色の
光を金属に当てるとする。金属の種類によっては、その赤い色の光をどんなに強くしても一個も電子が出てこない場合がある。
光が波であるなら、どんな色の光でも十分に時間をかけさえすれば必ず電子が飛び出してくるはずだ。水道の蛇口からポタポタ
したたる水滴でも、いずれはバケツを満たすようにである。
説明は割愛するが、2番目と3番目の事柄も光を波として扱うと説明がつかない。はて困ったことになった。
2 光は粒子だ 次頁