光は粒子のように振る舞う
光は粒だ
ここで若きアインシュタインが登場する。
アインシュタインは本章の最初に紹介したプランクの説(「光のエネルギーには最小値があり、光のエネルギーは最小値の
整数倍になっている」)に目を付けた。
特定の色を持つ光が相手の粒子と反応するとき、光はその最小値のエネルギーを一挙に与えるのである。最小値をかりに5とする
と、光はその5という量のエネルギーをいっぺんに相手に与えるのであって、決して2.3とか7.6というような半端なエネルギーを
与えることはない。つまり、光がエネルギーを連続的に相手に与えることはないのである。
このことからアインシュタインは、「光というものは、物質(電子)と反応を起こすときは粒として反応する」という説を
立てた。光を波ではなく粒子の集合体の流れとして扱うと、光電効果の観測事実をすべて説明できるのである。この光の粒は
「光子」と呼ばれるようになった。
光子は分割することができない。光子は内部構造を持たない粒子なのである。また、一個一個の光子は常に光速で走り回って
いて、決して止まることはない。もし止まったとしたら、それは物体に吸収されて消滅したことを意味する。光子という粒子は、
消滅したり創生したりするものである。
アインシュタインはまた、「特定の色の光が粒子として振る舞うとき、その光子一個の持つエネルギーはその色の周波数
(振動数)によって決められる」と考えた。そして、「光子一個のの持つエネルギーはその周波数に比例する」ということを
発見したのである。
周波数が高いほど光子一個の持つエネルギーは大きくなるし、周波数が低いほど光子一個の持つエネルギーは少なくなる。
赤い色の光は周波数がもっとも低いため、赤い色の光に対応する光子のエネルギーはもっとも小さい。一方、紫色の光の周波数
はもっとも高いため、紫色に対応する光子のエネルギーはもっとも大きい。
この光子一個の持つエネルギーが、光のエネルギーの最小値になる。したがって、光のエネルギーの最小値は光の色によって
異なるのである。
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