『パンセ』を読む

第三章 賭の必要性について

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神があるということは不可解であり、神がないということも不可解である。魂が身体とともにある ということも、われわれが魂を持たないということも。世界が創造されたということも、世界が創造されない ということも、等々。原罪があるということも、原罪がないと言うことも(1)

(1)ここにあげられた四組の二律背反では、「神がある」を始めとして、それぞれ第一の 定立のほうは理性または理論にとっての不可解であり、「神がない」を始めとするそれぞれ第二の反定立 のほうは事実上の不可解である。カントのアンティノミーの場合と異なり、パスカルの場合は、断章430で も明らかにされるように、理性上の不可解は、事実上の不可解の前に譲らなければならないのである。

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公開日2008年2月4日