パスカルの思想
あそこでなくここ、あの時でなく現在の時に、なぜいなくてはならないのかという理由は全くない。 パスカル
なぜこの家族の許に生まれたのかの理由もそうだし、なぜあの人と出会ったのかの理由もそうだし、なぜ他の人でなくよりによってこの私が病に蝕まれるのかの理由も同じ。そうでないこともありえたかぎりでそもそも偶然なのだが、以後このことはその人にとって運命となる。17世紀フランスの思想家の『パンセ』(前田陽一・由木康訳)から 朝日新聞2022年7月16日折々のことば 鷲田清一
わたしは、 パスカルを夢中で読んだ時期があり、その影響があったのか、単純に自分で思いついたのか、「この世界で」と題して次のような詩を作ったことがある。
この世界で
世界にはたくさんの言葉があって
それぞれの異なった世界観のなかで
人びとは生きている偶々生まれた土地で
言葉を学び世界を知ってゆく
まるでそれが
生得のものであるかのようにそこに生まれたのがなぜあなたであって
わたしではなかったのか
誰が知りえようなぜその土地であって
この地ではなかったのかなぜそのときであって
他の時代でなかったのか
誰が知りえよう不可逆の大きな大きな大きな流れのなかで
ある偶然があって
わたしたちは生まれ
あるものは信じ
あるものは不信じ
抗い
生きてゆくこれを知る
寂しさ
思想の根底は同じである。あまりにも一致しているので、思わず引用した。 管理人 十月の詩 「この世界で」