この世界で
世界にはたくさんの言葉があって
それぞれの異なった世界観のなかで
人びとは生きている
偶々
生まれた土地で
言葉を学び世界を知ってゆく
まるでそれが
生得のものであるかのように
そこに生まれたのがなぜあなたであって
わたしではなかったのか
誰が知りえよう
なぜその土地であって
この地ではなかったのか
なぜそのときであって
他の時代でなかったのか
誰が知りえよう
不可逆の大きな大きな大きな流れのなかで
ある偶然があって
わたしたちは生まれ
あるものは信じ
あるものは不信じ
抗い
生きてゆく
これを知る
寂しさ
令和二年二月