香典にいくら包んだらいいのか
ひとは知っている
世間とはどういうものかも
心得ている
生きていくのに必要なことは
なんでも心得ている
なんでも知っているから
あんなに堂々と生きているのだ
都合の悪いものは
そっと見ないようにしよう
分からないものは
とりあえず括弧でくくろう
考えることなどなにもない
白黒のつかないもの
疑問が残るようなものは
忘れろ・・・
捨ててしまえ・・・
そうして堂々と世間を生きている
充分に大人になってからも
わたしの人生は無知のままだ
そのなかを
わたしは歩いている
なにかを探している
何かはっきりしたものを
少しでも
本当にお前は知っているのか