本を買う

『スッタニパータ』中村元訳を買う

金曜日の夕刻
横浜駅で乗り換えの間に
本屋に寄って
注文していた本を買う

駅の雑踏の中を
とにかくコーヒーショップへ行き
混み合った店内でカウンター席をみつけ
包装をとき
さっそく読み始める
解説から訳者の興奮が伝ってくる
―これは数多い仏教書のなかで最も古い経典
煩瑣な教理は少しもなく
生き生きとした姿に接することができる―

世界中で一番面白いミステリーを読むような気持ちで
二千五百年前の言葉が閉じ込められた本を
今開いている

古いもののなかに
新しいものを発見できるだろうか
二十一世紀という時間のなかで
真理は現れてくるだろうか

あるいはただ単に
考古学のごときものであるか

二00七年六月
六月十二日更新
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