ひとりの沙門が
マガダ国のウルヴェーラーの村に来た
村を流れるネーランジャラー河の岸辺で
ぼろぼろの衣を脱ぎ
身体を洗っているのを村人が見ていた
山の中の長い苦行で
身体はすっかり痩せほそっていた
沙問が一本のピッパラの木の下に座ろうとすると
通りがかった村人が一束の干草を供養した
沙門はそれを座布にして座り
そのまま動かなかった
村娘のスジャータは家に取って返し
乳粥を器に入れて沙問に供養した
まだ若い沙門はゆっくり飲み干すと
また座って動かなくなった
日は高く
木の下は涼しい風が吹いていた
スジャータは毎日ピッパラの木の下にゆき
乳粥を供養した
沙問は少しずつ体力を回復してゆくようだった
そうして沙問は何日も座り続けた
日は高く
木の下は涼しい風が吹いていた
ネーランジャラー河はゆったり流れていた
ウルヴェーラーの村に幸あれ