海を埋めたてて

ある冬の日に
無人運行のシーサイドラインに乗った

海を埋めたてて
四万人の人が働く工業地域と
人々が住む街をつくった
プロジェクトは成功したのだろう

植栽の街路樹も育っているし
そこここに公園もあり
コンクリートの学校や
ショッピングセンターや
中層共同住宅も建ち並んでいるが
がらんとして
馴染めない街だ

鳥浜
幸浦
金沢八景
かってはどんなに美しい海岸だったのか
今は知る人もいない
地名だけが悲しく残っている

夕暮れ時
小高い丘に落ちかかる夕陽を眺め
・・・これだけは昔から変わらない風景だろう
そのひと時を切り取って
ポケットに入れて持ち帰る

二00七年一月
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