めだかは五匹いた居間の陽のあたる窓際の大きな陶器のなかにいて みな元気そうに泳いでいた
あっと思った 水を替えているとき 藻のなかに 粉をまぶしたように白くなって一匹浮いていたいちばん小さな奴だった
自分の都合にかまけて 二週間も水を替えてやっていなかったせいだろうか
しばし思いあぐねて庭の梅の木の根元に埋めた 線香はあげましたかと妻の言う
誰にも気づかれず その時も知られずめだかは死んだ