第五章 正義と現象の理由
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現象の理由。
正より反への絶えざる転換。
さて、われわれは、人間は本質でないものを尊重するという点から、彼がむなしいものであることを
示した。そして、これらのすべての意見は破壊された。
ついでわれわれは、これらのすべての意見がきわめて健全であり、したがって、これらすべてのむなしいことも
きわめてよく基礎づけられているので、民衆も人の言うほどむなしいものではないことを示した。
こうしてわれわれは、民衆の意見を破壊した意見をさらに破壊した。
だが、今度は、この最後の命題を破壊して、民衆の意見は健全であるにしても、民衆がむなしいものである
ことは相変わらずほんとうであることを示さなければならない。なぜなら、民衆は真理をその在る場所において
感知せず、真理のない場所に真理を置いているので、民衆の意見は常にきわめて誤っており、
きわめて不健全であるからである。
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