『パンセ』を読む

第五章 正義と現象の理由

308
国王を見るときには、親衛隊、鼓手、将校たち、そのほか自動作用を尊敬と恐怖とのほうへと傾かせる あらゆるものに伴われているのが習慣となっているので、時たま国王が一人でお供なしでいる時でも、 その顔は臣下の心に尊敬と恐怖とを起こさせる。というのは、国王その人と、普通それと結びつけられて いていっしょに見る従者たちとを、頭のなかで切り離さないからである。そこで、こうした現象がそのような 習慣から生じるのであることを知らない世間の人々は、それが生来の力からでるものと考える。そういうところから 、次の言葉が生まれるのである。「神性の徴(しるし)が、玉顔の上に刻まれている」など。

頁をめくる
次頁
頁をめくる
前頁
公開日2008年2月16日