ある遍路日記  第34日目

2002年12月24日(火)  
晴れ

今日はどこまで歩けるか、どこに宿をとったらよいか大変迷い、最後までふんぎりがつかなかった。 太龍寺や鶴林寺はいずれも標高500m位の山の上にあり、難所と言われている。しかも前半平等寺まで20kmある。 歩けるところまで歩いてから決めようと思い、早朝4時30分に宿を出た。

阿南市福井町の遍路休憩所
阿南市福井町の遍路休憩所

8時頃、鉦打の手前で(阿南市福井町馬路?)道端に立派な遍路休憩所があった。地元の人達が、 それぞれ敷地や資材や労力を出し合って作ったものだ。第三号とある。とするとあと二つ有る訳だ。総檜造りである。 数少ない歩き遍路のために、地元の人達の無言の好意・配慮・歓迎の気持ちがここにあると思うと、感激した。 何故か日本も悪くならないという気持ちになった。

平等寺を打って、朝から何も食べていないので、隣の喫茶「山茶花」で一服しようとしたが定休日だった。 がっかりしていると、コーヒーならできるという。ついでにトーストも頂いたが、こちらはお接待でお金をとらなかった。

大根峠の遍路道
大根峠の遍路道

大根峠に入り、峠でおにぎりの昼食にする。小さな峠で展望のきくところはなかったが、なかなか良い峠道だった。 太龍寺の登り口に来て、午後1時だったので思い切って山二つ越えることにする。

山上の太龍寺を打つ。「西の高野」と言われており、さすがに立派な伽藍が並ぶ。虚空蔵求聞持法 (こくうぞうぐもんじほう)を修行したという 空海ゆかりの地だが、その舎心ヶ嶽 (しゃしんがだけ)には往復1時間かかるというのであきらめた。

境内で、全部野宿でやっているお遍路さんに会い、しばらく話しをする。左手に錫を高く持ち上げて調子よく鳴らし、 上手に経を唱えていた。自分はもう失うものは何もない、死んでもいいと思って来ました、と明るい声で言う。 この方は以前車で回ったとき、御蔵洞(みくろど)で弘法大師に会ったそうだ。黄色い衣を着ていたという。 歩いていると信じられないことが続いて起こるものですねと言う。気持ちの正直そうな人だった。

いったん山を下り、再び鶴林寺の急峻な遍路道を登る。最後は汗びっしょりになり、杖にすがるようにして登った。 着いたのが午後5時半、境内は暗く納経時間は終わり誰もいない。お接待で頂いたぽんかんが実に美味しかった。 明日出直すことにし、真っ暗な車道を1時間かけて下る。普通は2日の行程だと宿のおかみに言われた。

本日の行程

YH日和佐
04:30
20.7km

22番平等寺(びょうどうじ)
10:00
11.7km

21番太龍寺(たいりゅうじ)
14:30
6.5km

20番鶴林寺(かくりんじ)
17:30
3.7km

民宿金子屋
18:30

距離 42.6km
所要時間 14:00