今日は余裕のある行程にした。憧れの室戸岬でゆっくりしたかった。
喫茶「法萬坂」でモーニングを注文する。私が歩いているのを知ると、缶ジュースのお接待をしてくれた。
金剛頂寺、津照寺と打ち、午後2時頃室戸岬の突端にある室戸荘に荷を預け、さっそく御蔵洞に向かう。 曇り、海は荒れていた。空海24歳の時の仏教宣言の書「三教指帰(さんごうしいき)」に 「土州室戸の崎に勤念(ごんねん)す。谷、響きを惜しまず、明星、来影す」と書かれた処だ。
御蔵洞は神社になっていて鳥居がある。おかしいなと思いながら、その前でひとり草刈をしていたおじいさんに声をかけると、 いきなり、ここに入るのに、弘法大師は100日わしは1000日かかった、弘法大師は大滝岳で断られ、ここでも断られたが、 それでも100日かかって許可がでた、そこの窪みのところに座ったのよ、と言う。誰の許可が必要だったのですかと聞くと、 神さまの許可が必要だったのだそうだ。ここは今は神社の管理になっており、その家の人らしい。 4男で昔は鮪魚船に乗っていたと言う。わしは人の体の中が見える。あなたもやってみますか、とすすめるのでちょっと気味が悪かったが、 言われるままにやってもらった。直立姿勢で、腕や胸をさすられたり叩かれたり目をつぶったりしたが、身体が軽くなるような 効き目はなかった。悪いので、私はこういうことに鈍いんですよ、といってその場をつくろった。そのうち4〜5人の人がやって来て、 おじいさんに体の具合の悪いところを治してもらっている。待っている人に聞いてみたが、自分は子供の頃からの蓄膿症が 直ったといっていた。見ていて良いといわれるまま、終わるまで見ていたが、治った風には見えなかった。
あとで宿のおかみさんに聞いたが、空海のお堂をこの前に移す計画があった時、神社派の人達が車を並べてバリケードを張ったり して反対運動を起こし、大変な騒動になったらしい。神と仏と、空海の聖地で奇妙な話だ。