ある遍路日記  第27日目

2002年12月17日(火)  
晴れ 

宿の前の雪蹊寺を打つ。納経所のおじいさんがひとりで話しかけてくる。兵隊に行って上官のラブレターばかり書いていたから、 日本語があまり出来なくなった、いい奴はみんな死んだ、わしは背が低いから、鉄砲玉はみんな上を通り越していったから生きておる。 あんなのばかりじゃ日本はダメになるよ、死のうにもエンマさまのところへどうやって行ったらよいか分からんよ、切符もないし、 などと喋っていた。

寺を出てすぐ、浦戸湾の渡し舟に乗る。自転車やバイクの人が次々に乗ってくる。県営で無料だ。

竹林寺の境内
竹林寺の境内

禅師峰寺、竹林寺、善楽寺と打ちながら、宿をどこにするか迷っていた。高知市郊外をぐるりと回っているのだが、 この行程には高知市街に行く他は、適当なところに宿がない。とりあえず次の国分寺まで行って、高知市内まで電車で戻るより他ない と思い、善楽寺の境内で予約していると、寺の人がこの先の石材店で善根宿があると教えてくれた。(有)丸和石材の大きな看板の前 を通りかかったが、その旨の案内がでていない。まだ仕事中の事務所に押しかけるのも気が引けたので、とりあえず前の喫茶店 「ハンカチーフ」に入る。女主人がすぐ、宿はとりましたか、と聞いてくるのでまだだと答えると、一緒に石材店まで行って 宿の了解をとってくれた。2階の部屋やトイレ・シャワーなどの設備の説明を受け、喫茶店に戻りコーヒーと夕食をとる。 部屋に戻るとき、事務所の前で車に乗って帰る人がいたので、お世話になりますと挨拶すると、笑顔で食事はしましたか と聞いてきた。その人が社長らしかった。社長個人の意思でやっているらしい。高知県南国市岡豊 (おこう)町小蓮小宮432-2 首藤 清觀氏  ありがとうございました。

部屋で記録を見ると沢山の遍路が利用している。食事のお接待もしているようだ。円い形の自家本があったのでめくってみる。 やはりこの善根宿を利用して、御礼に送ったものらしい。日本全国を徒歩で回った記録である。大変な人がいるものだ。 私とほぼ同年代、しかも勤務があるので、土日休日を利用してテント持参で歩いたという。 静岡市在住の堀江 剛氏。内容も大変面白ものだった。
「歩くことは、人生そのものに非常に良く似て重なる部分が多い。」 
「歩くとね・・・自分の生きるリズムが分かるんだ。」

本日の行程

民宿高知屋
07:30
0.0km

33番 雪蹊寺 せっけいじ
07:30
7.5km

32番禅師峰寺(ぜんじぶじ)
10:30
6.0km

31番竹林寺(ちくりんじ)
12:30
6.7km

30番善楽寺(ぜんらくじ)
16:00
4.5km

(有)丸和石材
17:30

距離 24.7km
所要時間 10:00