ある遍路日記  第19日目

2002年12月9日(月)  
晴れ

新宿から夜行バスで08:00松山着、特急で宇和島に09:00到着し、駅前の喫茶店で一息ついてから、10:00歩き始める。 大門までは順調に来たが、すでに16:00頃になっており、少し遅すぎると思ったが国道を通らず、遍路道に入る。 後で考えると、しばらく歩いていないので、一日行程の勘が鈍っていたのだと思う。

茶堂というところの手前で、道が直角に曲がっており、近くの農家の人に道を尋ねたのだが、私がきちんと確認して 問い直さなかったようだ。直角に曲がり、道なりに車の轍のある道をどんどん進んでいった。道は下に下りて行く。 あたりが暗くなってきた頃、林の中で行き止まりになってしまった。

山中ですっかり暗くなる
山中ですっかり暗くなる

農家のあるところまで戻って、犬が吠え立てている中を、道を尋ねると、目の前の山を指して、遍路道はあの山の尾根伝いを 通っている、家の前のそこの小道から真っ直ぐ行ける、子供がいつも遊んで登っているから、一ヶ所たけやまのところだけ 注意すればよい、と教えてくれた。すでに辺りは真っ暗で、私は懐中電灯を出していた。その山道を行くが、たけやまのあたりで どうしても上に行く道が分からない。戻ってもう一度尋ねると、車で間違った場所まで送ってくれると言う。 川の向かいの空き地に3台も車があって、そのなかのRV車に乗せてもらった。椎茸を栽培しているそうだ。 もと来た道をどんどん戻って止まったところが、あの直角に曲がったところだった。いったん曲がって10m位の行った処で、 また直角に今度は左折して、いきなり笹薮のような道に入り込むところがある。丁度クランクのように曲がって入るようになっている。 よく見ると確かに四国の道と遍路道の両方の道標があった。

山中は真っ暗で、足元を照らす懐中電灯だけが頼りだ。茶堂休憩所を過ぎて、柏坂の処で電池が切れてしまった。 月影を頼りに車の轍のある道をしばらく行くが、おかしいと気付き引き返す。一般に車の轍のある道は農道や林道で、 気をつけなければいけないケースが多い。電池が切れたところで、急に落ち込むような遍路道があった。 暗くなるとライターは明かりの代用にはならない。手帳を裂いて燃やしてみたが、一時的で役に立たない。 柏坂を下り切って民家の明かりが見えたときはほっとした。

国道を歩けば、道に迷う心配はなかったが、ただ歩くだけで面白味に欠ける。山中に入れば、道に迷ったときがこわい。 明るいうちに着くような行程が一番よいが、思う処に宿がないときもある。判断に迷うときだ。今回はただぼんやりしていたのだと思う。

宿の人は私がもう来ないと思っていたようだ。あの山は猪が出ると言っていた。

本日の行程

宇和島駅
10:00
19.5km

大門
16:00
7.5km

旅館かめや
20:30

距離 27.0km
所要時間 10:30