松山ユースホステルの朝食は、和洋のバイキングで、食べ放題。パンとコーヒー2杯で大満足、宿泊客が少なくもったいないくらいだ。
朝から小雨、昼頃本降りになり、夕刻また小雨、一日中降っていた。初めてポンチョをかぶって宿を出る。西林寺の納経所の坊さんに、 今日の雨では三坂峠は滑って危ないから国道を行ったほうがいいかもしれないと言われた。今回一番心配しまた楽しみにしていた 峠越えである。標高720mで2.8kmの距離に標高差410mある。
浄瑠璃寺までは遅ればせながら順調にきた。昼食をとるタイミングがなく、乾パンとカロリーメイトを食べながら歩く。 久谷という集落の役所の出張所の軒先で小休止する。この先で道が分かれていたので役所の人に念のために道順を確認すると、 お遍路さんは皆さん左の道を行くが、右側の方が道もよくどちらも三坂峠に行くと言う。道を聞くとき気をつけなければならないのは、 地元の人は近くでも車で用をたすので、ほとんど歩いていないことだ。まして遍路道は歩いたことがないので、知らない人だ多い。 うっかり車道を案内することになる。
左の道を行くつもりだったが、うっかり忠告どおり右側の道を選んだ。しばらく歩いておかしいと思ったが、 通り沿いの何軒かの農家のブザーを鳴らしたがどこも誰も出てこない。小一時間ほど歩いて、農家の小型トラックが来たので聞くと、 この道は山ひとつ手前の農道で、峠には行かないと言う。さらに突っ込んで聞くと、国道には出られるが、今から歩いてはどうか と時計を見ながら首をかしげている。とにかくもう戻れないので、遍路道はあきらめてこのまま行くことにする。 さらに道々車を止めたり農家の人に確認しながら、ようやく午後3時30分国道33号線にでる。
峠に着いたらレストランでコーヒーが飲めるのを楽しみに、それから2時間ひたすら歩いた。車が通り過ぎる度に雨をはねてゆく。 峠に着いたが、「三坂峠H720m」の道路標識が無愛想にあるだけで、あとは何もなし。レストランは廃屋、埃をかぶった自動販売機があり、 腰をおろして休憩する処もない。峠から少し下った処に三坂峠を下る遍路道の道標があった。 順打ちでもよく気を付けていないと見落としそうな処だ。
三坂峠を越えるとだらだらした下りが続き、宿に着いたときはすっかり暗くなっていた。5kmは余分に歩いたことになるだろう。 楽しみにしていた三坂峠の遍路道を登れなかったのは残念だった。今度また来る機会があるだろうか。