源氏物語  少女 あらすじ 章立て 登場人物

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少女 あらすじ

源氏 33~35歳  太政大臣

 夕霧は12歳で元服するが、源氏の意向で、六位という低い位に止めて、学問に専念させるべく、大学に入学させ、二条院に学問所を設けて、環境を整える。翌年春、帝の御前の試みで、進士に合格し、侍従に任じられる。
 雲居の雁は、母が頭中将と離別し按察使大納言の北の方になったので、大宮が預り可愛がって世話をしていた。夕霧も大宮の邸によく遊びに来て一緒に遊んだ。幼いながら二人は恋心をもっていた。頭中将はそのことを知り、大宮に、苦情を申し立て、雲居の雁を自邸に引き取ってしまった。頭中将は、雲居の雁を機会を見て入内させようと考えていたのである。
 冷泉帝に立后の時期がきて、誰を后にするかの競合があった。三人の女御がいた。先に入内した頭中将の娘の弘徽殿、源氏が後見している故六条御息所の娘の前斎宮と、式部卿の娘の女御であった。その中で、源氏の推した前斎宮が立后して中宮になった。
 源氏の一族が隆盛を極めていく。源氏は太政大臣になり、頭中将は内大臣になる。
 冬、源氏は五節の舞姫に惟光の娘を推挙する。夕霧は、その舞姫の美しさにひかれる。舞姫の兄に頼んで文を届けてもらう。娘は喜び、惟光もそれを知って喜ぶ。内裏に出さず、夕霧にさし上げようと思う。
源氏は花散里に、夕霧の後見を託す。母親代わりだった。
 源氏は、故六条御息所の邸の一部を含め、六条に四町からなる広大な邸の造営を計画し完成させる。四季折々に応じたそれぞれ美しい邸になる。世話する女たち、紫の上、花散里、明石の君、秋好中宮をそれぞれの邸に住まわせる。源氏と紫上は春、花散里は夏、秋好中宮は秋の景色を配した御殿に住んだ。
少し後に、明石上が冬の景色の御殿に大井から移り住んだ。
 源氏の絶頂期である。

巻名の由来
五節の舞姫の時季になった。源氏は昔をしのび筑紫の五節の君に歌を贈り、夕霧は惟光の娘の美しさに惹かれる。
乙女子も神さびぬらし天つ袖古き世の友よはひ経ぬれば (源氏)(21.26)
歌意 昔少女だったあなたも神さびて年をとったことだろうその頃の友のわたしも年をとりましたので
かけて言へば今日のこととぞ思ほゆる日蔭の霜の袖にとけしも (筑紫の五節)(21.26)
歌意 五節の舞姫にちなんで申し上げれば、まるで今日のことのように思い出します 日陰のかずらをかざして舞ったむかしを
日影にもしるかりけめや少女子が天の羽袖にかけし心は (夕霧)(21.27)
歌意 日の光にも分かるでしょう 乙女が天の羽衣の袖をふって舞った姿にわたくしは思いをはせています

少女 章立て

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21.1 故藤壺の一周忌明ける
年変はりて、宮の御果ても過ぎぬれば、世の中色改まりて、更衣のほどなども今めかしきを、まして祭のころは、・・・。
21.2 源氏、朝顔姫君を諦める
女五の宮の御方にも、かやうに折過ぐさず聞こえたまへば、いとあはれに、 「この君の、昨日今日の稚児と思ひしを、・・・。
21.3 子息夕霧の元服と教育論
大殿腹おおいとのばらの若君の御元服のこと、思しいそぐを、二条の院にてと思せど、・・・。
21.4 大学寮入学の準備
字つくることは、東の院にてしたまふ。東の対をしつらはれたり。
21.5 響宴と詩作の会
事果ててまかづる博士、才人ども召して、またまた詩文作らせたまふ。
21.6 夕霧の勉学生活
うち続き、入学といふことせさせたまひて、やがて、この院のうちに御曹司作りて、まめやかに才深き師に預けきこえたまひてぞ、・・・。
21.7 大学寮試験の予備試験
今は寮試受けさせむとて、まづ我が御前にて試みさせたまふ。
21.8 試験の当日
大学に参りたまふ日は、寮門に、上達部の御車ども数知らず集ひたり。
21.9 斎宮女御の立后と光る源氏の太政大臣就任
かくて、后ゐたまふべきを、 「斎宮女御をこそは、母宮も、後見と譲りきこえたまひしかば」 と、大臣もことづけたまふ。
21.10 夕霧と雲居雁の幼恋
冠者の君、一つにて生ひ出でたまひしかど、おのおの十に余りたまひて後は、 御方ことにて、 「むつましき人なれど、・・・。
21.11 内大臣、大宮邸に参上
所々ところどころの大饗だいきょうどもも果てて、世の中の御いそぎもなく、のどやかになりぬるころ、・・・。
21.12 弘徽殿女御の失意
「女はただ心ばせよりこそ、世に用ゐらるるものにはべりけれ」 など、人の上のたまひ出でて、 「女御を、けしうはあらず、・・・。
21.13 夕霧、内大臣と対面
大臣、和琴ひき寄せたまひて、律の調べのなかなか今めきたるを、さる上手の乱れて掻い弾きたまへる、いとおもしろし。
21.14 内大臣、雲居雁の噂を立ち聞く
大臣出でたまひぬるやうにて、忍びて人にもののたまふとて立ちたまへりけるを、 やをらかい細りて出でたまふ道に、・・・。
21.15 内大臣、母大宮の養育を恨む
二日ばかりありて、参りたまへり。
21.16 内大臣、乳母らを非難する
姫君は、何心もなくておはするに、さしのぞきたまへれば、いとらうたげなる御さまを、あはれに見たてまつりたまふ。
21.17 大宮、内大臣を恨む
宮は、いといとほしと思すなかにも、 男君の御かなしさはすぐれたまふにやあらむ、かかる心のありけるも、・・・。
21.18 大宮、夕霧に忠告
かく騒がるらむとも知らで、冠者の君参りたまへり。
21.19 夕霧と雲居雁の恋の煩悶
「いとど文なども通はむことのかたきなめり」と思ふに、いと嘆かしう、物参りなどしたまへど、さらに参らで、・・・。
21.20 内大臣、弘徽殿女御を退出させる
大臣は、そのままに参りたまはず、宮をいとつらしと思ひきこえたまふ。
21.21 夕霧、大宮邸に参上
折しも冠者の君参りたまへり。「もしいささかの隙もや」と、このころはしげうほのめきたまふなりけり。
21.22 夕霧と雲居雁のわずかの逢瀬
宮の御文にて、 「大臣こそ、恨みもしたまはめ、君は、さりとも心ざしのほども知りたまふらむ。
21.23 乳母、夕霧の六位を蔑む
御殿油参り、殿まかでたまふけはひ、こちたく追ひののしる御前駆の声に、人びと、 ・・・。
21.24 惟光の娘、五節舞姫となる
大殿には、今年、五節たてまつりたまふ。
21.25 夕霧、五節舞姫を恋慕
大学の君、胸のみふたがりて、物なども見入れられず、屈じいたくて、書も読まで眺め臥したまへるを、・・・。
21.26 宮中における五節の儀
浅葱あさぎの心やましければ、内裏へ参ることもせず、もの憂がりたまふを、五節にことつけて、・・・。
21.27 夕霧、舞姫の弟に恋文を託す
やがて皆とめさせたまひて、宮仕へすべき御けしきありけれど、このたびはまかでさせて、近江のは辛崎の祓へ、・・・。
21.28 花散里、夕霧の母代となる
かの人は、文をだにえやりたまはず、立ちまさる方のことし心にかかりて、ほど経るままに、・・・。
21.29 歳末、夕霧の衣装を準備
年の暮には、睦月の御装束など、宮はただ、この君一所の御ことを、まじることなういそぎたまふ。
21.30 二月二十日過ぎ、朱雀院へ行幸
朔日にも、大殿は御ありきしなければ、のどやかにておはします。
21.31 31 弘徽殿大后を見舞う
夜更けぬれど、かかるついでに、大后の宮おはします方を、よきて訪らひきこえさせたまはざらむも、情けなければ、帰さに渡らせたまふ。
21.32 源氏、六条院造営を企図す
大殿、静かなる御住まひを、同じくは広く見どころありて、ここかしこにておぼつかなき山里人などをも、・・・。
21.33 秋八月に六条院完成
八月にぞ、六条院造り果てて渡りたまふ。
21.34 秋の彼岸の頃に引っ越し始まる
彼岸のころほひ渡りたまふ。ひとたびにと定めさせたまひしかど、騒がしきやうなりとて、中宮はすこし延べさせたまふ。
21.35 九月、中宮と紫の上和歌を贈答
長月になれば、紅葉むらむら色づきて、宮の御前えも言はずおもしろし。

少女 登場人物

※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前です。氏の驚くべき労作に感謝します。

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公開日2019年2月23日/ 改定2023年4月4日