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亡くなった桐壷院の麗景殿女御は院から格別のご寵愛を受けていたわけではなかったが、穏やかで品があり、親しみやすい人だった。院の没後は後見がなかったので、源氏が庇護していた。内裏でたまさか逢っていた妹の花散里と一緒に住んでいた。花散里訪問の途中、中川という所で、昔一度通った女の邸の前を通りがかり、惟光に行かせたが、女は内心残念がり、やんわり断ったのも、もっともだと思う。その時の地の文に、源氏の女に対する扱い方が述べられている。
いかなるにつけても、御心の暇なく苦しげなり。年月を経ても、なほかやうに、見しあたり、情け過ぐしたまはぬにしも、なかなか、あまたの人のもの思ひぐさなり。麗景殿と昔話にふけり、夜遅くなって訪れて花散里を驚かす。花散里は温和な家庭的な性格で、裁縫・染色に堪能で、後に夕霧の母親代わりになり、また夕霧の子供を二人預かって育て、内助の功に徹する。
(どんな女でも、源氏は心の休まる時がなく気を遣った。年月を経ても、会ったことのある女には、情けを忘れないので、多くの女たちの物思いの種であった)
故桐壷院の麗景殿の女御が妹の花散る里と住んでいる邸を訪ねる。
橘の香をなつかしみほととぎす花散る里をたづねてぞとふ (源氏) (11.3)
歌意 昔を思い出す橘の香をなつかしんで橘の花散る里に時鳥がやって来ました。
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。
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