様々な思想

   

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神成テーオーシス

テーオーシスという宗教用語を、ロシア史家の三浦清美・早大教授の著書に教わった。人間は神になれるという思想で、「神成」と訳される♦中世にローマ教皇庁が追及した教えだが、ロシア正教には脈々と息づくと三浦さんは言う。「努力を重ねて神に近づくべきだという考えから生まれる克己心、充足感、義務感・・・それらが政治の世界に流れ込んでいると、私は思っています」(『ロシアの思考回路』扶桑社新書)♦この春にプーチン露大統領に面会したオーストリア首相の感想を思い出す。「彼は自分の世界に入り込んでいる」♦戦争に終わりはあるか。プーチン氏が教えをかなえるべく懸命になっているとすれば対話は通じまい。「プーチンのような人物を追い詰めたら何をするかわからない」という言い回しをよく聞く。理解不能の指導者像は演出ではなく、内面から湧き上がるものとすると余計に怖い♦努力必須の先の思想はロシア的巨人の誕生を促したともいわれる。文学のドストエフスキー、トルストイ、音楽のチャイコフスキー・・・あなたは違う、とは侵略をやめない為政者に誰もが思うことだろ。
編集手帳 読売新聞 2022.11.16 より引用


この説明は分かりやすい。プーチンは自分の世界観の中に入り込んでいる、と思われるからだ。ロシア正教の教父は、今度のロシアによるウクライナ侵攻に賛成している、との報道にも接した。ロシア的ナショナリズムに乗っていると知ってがっかりした。『カラマーゾフの兄弟』でアリョーシャがロシア正教のゾシマ長老に会いに行く場面がある。その内容は忘れたが、ロシア的知恵者がゾシマ長老だろう、アリョーシャはその意見を聞きに行ったのだ。厳かな場面である。・・・管理人

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公開日2022年11月16日