オモウとオモイマス　心づかい

下落合の道場に住んでいたころのことである。山口から速達が来て”同封の写真の人が自分の結婚相手として、体癖的に適あうかどうか、至急御返事をいただきたい”とのことであった。
先生は例の如く、虫眼鏡で写真を見ながら、”この人はいいと思います”と電報を打つよう、弟子の一人に命じた。
その弟子は字数を数えながら、私に、
「”コノヒトハヨイトオモウ　ノグチ”なら、十五字以内ですから・・・」
と出かけて行った。よく気のつく人だと感心して、先生にその話をすると、
「オモウとオモイマスでは相手の受けた感じが違う。料金の問題じゃない。すぐに追いかけろ」
と叱られて、あわてて、自転車で追いかけたことがあった。

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