保守の意味
昔の人の方がそういう「起こらなかったことの重要性」を知っていたように思います。社会について考えるときには、実はそういうことが理解されことのほうが大切なのだという気がするのです。
保守的というのは実はそういうことなのです。日々平穏というのは日常どおりのことをやっていて何も起こらないということです。それが実は予防ということです。
それは現代の普通の人の考え方とは違うかもしれません。多くの人は社会が進歩するというのは、どんどん変わっていくことだと捉えがちです。
でも、そうではなくて社会が本当に進歩するというのは、どんどん変化するのではなく日々平穏になっていくことなのではないでしょうか。つまり、我々が今防げない危険をだんだん封じ込めていけるようになることが進歩しているということになる。
それが根本的な意味で発展していることだと思うのです。その逆をやって不安だ不安だと言っているのが現代人です。起こる原因の方は放置しておいて、結果の方だけ何とかしようとしているように私には見えます。
『超バカの壁』養老猛司著 新潮新書
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公開日2022年1月27日