横浜駅西口の ダイヤモンド地下街の雑踏のなかを歩いていると エレベーターから男の子がおりてきた
体全体をくねらせて 自由にならない両足を 必死に 両手の杖でささえて 人ごみのなかを歩いて行った
せめて他人(ひと)と同じように歩けたら 少年はなんどもなんども 自問したに違いない
まるでそこに世界の謎があるかのように わたしは立ちすくんで見ていた
少年よ 君は古今東西の哲学を以ってしても 解決できない悩みを 悩んできたのだ