風薫る五月 ぶらりと出かけて またここに来てしまった
花立(はなたて)に彫った 白い蓮の花と イエスが野の花にたとえた 赤いアネモネの花と わたしはどちらも無(な)みし そこにいっぱいのバラの花を手向ける
墓前に来て わたしは無 わたしは空無(からっぽ) 寂しさだけがあふれてくる
順ちゃんも お母さんも ここにはいないのは知っている はたしてどこかにいるのか 永遠の空無(からっぽ)などというものがあるのか