風薫る五月

風薫る五月
ぶらりと出かけて
またここに来てしまった

花立(はなたて)に彫った
白い蓮の花と
イエスが野の花にたとえた
赤いアネモネの花と
わたしはどちらもみし
そこにいっぱいのバラの花を手向ける

墓前に来て 
わたしは無 
わたしは空無からっぽ 
寂しさだけがあふれてくる

順ちゃんも
お母さんも
ここにはいないのは知っている
はたしてどこかにいるのか
永遠の空無からっぽなどというものがあるのか

平成二十九年五月 | 八月更新
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