美しく晴れ渡った 冬の日
ふと立ち寄った本屋で 茨木のり子の根府川(ねぶかわ )の海を読んだら 一気にそこへ連れていかれた
— あふれるような青春を リュックにつめこみ — 詩人は痛切に駅から見えた海を思い出す
小田原の少し向こう 東海道線の小さな駅 無人のホームに とつぜん藍色(まっさお )な海が飛び込んでくる
根府川の海よ 海よ 海よ 藍に染まって 人は微塵(みじん )