ある日とつぜん妻が
―キリストって本当にいたの?
と聞いてきたので
―いたよ
と即座に答えた
―ふうーん
という顔をしていたが
その先の話はなかったので
そこで沈黙となった
コーヒーを飲んだり
新聞を読んだりしながら
それぞれ
自分の時を過ごしていた
しばらくしてから
ぶつぶつと
胸のなかでつぶやいている
そうだ このように考えればいいのだ
キリストは
超新星のように
実際二千年前に輝いたのだ
その時から
五十年後や五百年後にその輝きを見た人もいれば
二千年後にその輝きを見る人もいるのだ
空を見る人によって
見えたり見えなかったりするのだが