マタイ伝を読んで
あなたを信じるのに
処女マリアから生まれる必要はなかったし
復活も不要だった
ガリラヤの小高い山の上で語った
あなたの言葉だけで充分だ
天の国から来た人でなくして
どうしてあのようなことが語れるだろう
そのとき私は
大勢のユダヤの人々から少し離れて
遠くからあなたの姿を見ていました
少し甲高い声は風に乗ってよく聞こえました
・・・・・・
あなたを聞いたものは
信じるか信じないかの
どちらかだろう
そののち裏切ったのは
イスカリオテのユダだけではない
二千年の歳月が経ち
あのときの言葉は
今も胸のなかで聞こえてくるが
あなたがその予感のただなかにあって語った
― いつとは約束しませんでしたが
最後の時はまだ来ていません
ヨルダン川の岸辺で
風に吹かれる葦のように
私はたたずむ
そして思う
塵からできた者は塵に帰ると
霊があれば
それを与えた神に帰るだろう