第ニ章 神なき人間の惨めさ
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隠れた美しい行為は、最も値うちのあるものである。それらのいくつかを184ページ(1)
にあるように
歴史のなかに見ると、それは大いに私を喜ばしてくれる。しかし、とどのつまり、それらのものは
完全に隠されたわけではない。なぜならそれが知られてしまったのだから。それを隠すために、
できるだけのことをしたとはいえ、わずかのことからにせよ、外に表れたということが、すべてを
台なしにしてしまう。なぜなら、そこで最も美しいことは、隠そうと思った点なのだったから。
(1)パスカル常用のモンテーニュ『エセー』1652年版
の184ページには、同書の1の41の大半が掲げられており、自分の名誉をそこなうのを顧みず、他人のためを
思った史上の四つの美談が紹介されている。
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