第一章 精神と文体とに関する思想
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人を有益にたしなめ、その人にまちがっていることを示してやるには、
彼がその物事をどの方面から眺めているかに注意しなければならない。
なぜなら、それは通常、その方面からは真なのであるから。そしてそれが真であることを彼に認めてやり、
そのかわり、それがそこからは間違っている他の方面を見せてやるのだ。彼はそれで満足する。
なぜなら彼は、自分がまちがっていたのではなく、ただすべての方面を見るのを怠っていたのだ
ということを悟るからである。ところで人は、全部は見ないということについては腹を立てないが、
まちがったとは思いたがらないものである。これはおそらく、人間というものは、あらゆるものを
見ることなどできないのが自然で、また自分が眺めている方面についてならば、まちがいえないのが自然で
あるということに由来するのであろう。感覚の知覚というものは、常に真であるから。
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