ある遍路日記  はじめに

2002年1月6日から1月16日までの11日間、5月8日から5月14日までの7日間、12月9日から12月30日までの22日間、合計40日間四国遍路に行き、88札所を回ってきた。事前の準備もあまりせず、歩き遍路用の案内書1冊とその他小冊子1冊を持って出掛けた。このように長い休暇をとれるのは、サラリーマン生活で最初の最後と思い、歩いたという刻印を付けておきたかった。それを日記風にまとめてみました。

書いている間は、2回目の遍路をしているようで楽しかったが、はたしてこんなものを読んでくれる人がいるだろうか、読む価値がないのではないかとも思っています。四国の風土・地理の案内にもなっていないし、人を高揚させる契機があったわけでもない。もし面白いと思って読んでくれる人がいるとすれば、私にとっては本当に奇特な人であります。

へんろみち保存協力会の道標
へんろみち保存協力会の
道標

初めての遍路で何故逆打ちをと聞かれて、いつも返答に困った。何度目ですかとも聞かれた。ある本に、四国遍路はこう回らなければいけないという決まりもなく、各自好きなように好きな処から回ればよい、と書かれていたのをそのまま受け取りました。もっとも元来へそまがりの気味があるから、多くの人と反対の道を選んだのかもしれない。もともと私は方向音痴で、同じ道を3回行って憶えても、しばらくたって次に行った時には道順が分からなくなっている。このような訳だから、たとえ順打ちで回っても、同じ程度に道に迷ったに違いないと思う。あまり順打ち・逆打ち等を気にしすぎるのではないかと思います。もっとも普段あまり歩かない人が1200km歩くのだから、とかく慎重にならざるを得ないとは思います。

俳句は普段作ったことがありません。季語のないものができて、やっぱり変だと思い、後でこねくり回して直したりしました。ただその時々に感じ思い浮かんだことを、文章のアクセントのつもりで挿入したので、ご愛嬌と思ってください。

空海については、入門書を読んだ程度で、その全体像などとても私の理解力では歯が立ちません。日本の歴史に現れた空前絶後の天才、というのが私流の空海観です。これを機会に、もう少しかじれるものならかじってみたいとは思っています。空海のすごさを示すものとして、私の関心を引き付けて止まない断章をここに引用しておきたい。

生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、
死に死に死に死にて死の終わりに冥し
虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、わが願いも尽きん

2003年2月 横浜の底冷えのする陋屋にて 豊嶋克彦 拝