源氏物語  螢 注釈

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頼みきこえさせたまへる人びと 「きこえさせ」は、人々の源氏に対する敬語。「たまふ」は、人々にたいする敬語。
かのげん 大宰府で求婚された大夫の監のこと。
かかる筋に、かけても人の思ひ寄りきこゆべきことならねば こうしたことだと、夢にも周囲の者たちがお気づき申すはずもないことなので。実の父が娘に言い寄るはずもないと誰もが思う。
うち出でそめたまひては 一旦、意中を打ち明けなさってからは。
いたくまめだち、心したまへど (言い寄る源氏に対して)ひどく真面目ぶって、用心していられるけれども。
五月雨になりぬる愁へをしたまひて 五月雨の頃になってしまったと苦情をおっしゃって。「神代より忌むというなる五月雨のこなたに人をみるよしもがな」(『信明集』)
寄せ重きなども 「寄せ重き」世間の心寄せ、信望が厚い。
宰相ばかりの人 「宰相」は参議(正四位下相当)。今の閣僚にあたる。その中国風なよび方。
されたるところつきて思しけり 女らしい考えもするのだった。
あいなくおのれ心懸想して 大人気なくひとりわくわくして。「あいなく」わけもなく。「心げそうして」緊張して。
親にはあらで、むつかしきさかしら人の 実の親ではなく、厄介な余計なことをする(玉鬘に言い寄るようなことをする)人ではなるが。
人の御いらへ聞こえむこともおぼえず 宮へのご返事をお取次ぎ申し上げることなど思いもよらず。
「埋もれたり」と、ひきつみたまへば、いとわりなし 気が利かぬと、おつねりになるので、困り果てている。やや諧謔を弄した筆致。「埋る」は引っ込んでいる。「いとわりなし」宰相の気持ちを直接書いて地の文としたもの。
うちしめりたる宮の御けはひも 物思わしげな宮の気配も。「うちしめりたる」物思わしげな。
夕闇過ぎて、おぼつかなき空のけしきのくもらはしきに 夕方の月のない時刻もすぎて、月もあるかなきかの空模様も曇りがちで。/ 夕闇も終わって、淡い月のでた空は雲がかかりがちで。/ 「おぼつかない」(景色など)はっきりしない。ぼんやりしている。ここでは「月が出ているかどうか分からない状態・曇っている)
いとあまり暑かはしき御もてなしなり 「あつかわし」普通は「暑苦しい」の意だが、ここではあたらないので、『湖月抄』が師説としてあげている『わづらわしきさまなり』と採っておく。あなたの態度は、いかにも宮のことをわずらわしがっているみたいだ。いやがっているみたいだというのである。(玉上)
この宮たちをさへ 「たち」複数の意味が薄れ、ただ複数の形で、軽い敬意を表す。
ことづけてもはひ入りたまひぬべき御心ばへなれば (源氏は)こんなことにかこつけてでも入っておいでになりかねない魂胆をお持ちの方だから。
何くれと言長き御応へ聞こえたまふこともなく、思しやすらふに 何やかやと言葉を尽くしておっしゃる宮へのご返事を玉鬘が申し上げることもなく、ためらっていられるのに。
寄りたまひて (源氏が)近寄ってきて。
御几帳の帷子を一重うちかけたまふにあはせて 帷子は表、裏からなる。夏は、表生絹、裏平絹。その裏を几帳の手(横木)にかけるのだろう。
とかくひきつくろふやうにて 何かと玉鬘の身辺の世話をよそおって。
掲焉けちえん 「掲焉」(けちえん)いちじるしいさま。めだつさま。
一間ばかり 一間、柱と柱の間。約4mくらい。
鳴く声も聞こえぬ虫の思ひだに人の消つには消ゆるものかは 鳴く声も聞こえない虫の思いでも、人が消そうとして消えるものでしょうか。まして私の胸の思いは、消えるものではありません。(新潮)/ 鳴く声も聞こえない蛍の火でさえ、人の力では消せないのに、人の心の火はどうして消せるものか。(玉上)/
声はせで身をのみ焦がす蛍こそ言ふよりまさる思ひなるらめ 声は立てないでわが身を焦がすばかりの蛍の方が、あなたのように口に出しておっしゃるよりも深い思いだいていることでしょう。(新潮)/ なきもしないでひたすら身を焦がす蛍の方こそ、口に出すようももっと深い思いでいるでしょうに。(玉上)
時鳥などかならずうち鳴きけむかし。うるさければこそ聞きも止めね 前の「夜深く」を受けて、「五月雨にもの思ひおれば時鳥夜深く鳴きていづちゆくらむ」(『古今集』巻三夏、紀友則)を踏まえる。草子地。
かくさすがなる御けしきを 玉鬘に思いを寄せながら親らしくもする源氏の態度。うわべは親のようでありながら、ひそかに自分に思いを寄せる源氏のお気持ち。
わがみづからの憂さぞかし /わが身の不運なのだ。
まことにゆかしげなきさまにはもてなし果てじ 「ゆかしげなき様」ゆかしくない状態。感心しない状態。人に披露できない愛人関係。ほんとうに世間にはありふれたつまらないことはしてしまうまいと、源氏はお思いなのだった。手許においた若い女に手を出したということはしたくない、という意味。
おり立ちあらはし聞こえ寄りたまはぬを 身を入れてあからさまに口説かれることはないが。「おりたち」自分自身で動く意。「あらわす」言葉で表現する。口説く。
いたくも馴らしきこえじ あまり近づけないほうがいいですよ。あまり心安くしない方がいい。
わづらはしき気添ひたまへる人ぞや 厄介なところがおありの人ですよ。
人の心破り、ものの過ちすまじき人は、かたくこそありけれ 女の人の心を傷つけ、何かの間違いをしでかさないような人は、めったにいないものです。
活けみ殺しみ 手綱を緩めたり締めたり。「活殺自在」 の訳であろう。
思ふことなくは、をかしかりぬべき御ありさまかな 余計な心配事がなければ、ほんとにすばらしく思われるに違いないご様子だ。
見るほどこそをかしけれ、まねび出づれば、ことなることなしや 見たときはすばらしかったが、今口にするろ、たいしたことありませんね。/実際その場で見ている時はすばらしかったけれど、こうしてお伝えする段になると、別に何ということもありません。草子地。その場にいた女房が語り伝え体。次ぎの歌の批評である。
今日さへや引く人もなき水隠れに生ふる菖蒲の根のみ泣かれむ 五月五日の今日も引く人もない水の中に隠れて生える菖蒲の根ーあなたに相手にされない私は、今日声を上げて泣くだけなのでしょうか。(新潮)/ 今日さえ引く人もない水に隠れて生える菖蒲の根、根だけながれましょう。音を上げて人に隠れて泣きましょう。(玉上)/ 今日でさえ根を引き抜く人もない。水の中に身を隠して生えている菖蒲のように誰も相手にしない私は声を上げて泣くしかないのでしょうか?野草デジカメ日記
「なほ」と聞こゆれば (これかれも)女房たちの誰もが、「なほ」おいやではございましょうがそれでもご返事だけはと勧めるので。
あらはれていとど浅くも見ゆるかな菖蒲もわかず泣かれける根の 全部見せてくださっていっそう浅く思われます。わけもなく流れる根が。わけもなく泣けてしまうとおっしゃるあなたが。(玉上)/ 分別もなく泣かれたというあなたのお気持ちは、はっきりといよいよ浅いものに思われます。(新潮)/ 水に隠れていた根を表に出してみると本当に浅いと分かりました。わけもなく泣かれるとおっしゃるあなたのお気持ちはお年に似合わないこと。野草デジカメ日記
ほのかにぞあめる 薄墨で書いてあるようだ。
思し沈みつる年ごろの名残なき御ありさまにて、心ゆるびたまふことも多かるに 玉鬘は、つらい思いを重ねてきた長年の苦労も跡形ない今のお暮らしぶりで、いろいろお気持ちにゆとりができたので。
「同じくは、人の疵つくばかりのことなくてもやみにしがな」と、いかが思さざらむ どうせなら、源氏が後ろ指をさされるようなことのない結末にしたいと、どうしてお思いでないことがあろう。
今日の司の手結てつがいひのついでに 五月五日の節、武徳殿での近衛、兵衛の騎射か。二人づつやるのので「手結」という。「手結」(てつがい)(「相撲(すまひ)」「射礼(じやらい)」「競(くら)べ馬(うま)」などの勝負事で)競技者を左右に分けて組を作ること。また、その取組。
裾濃すそご 帷子を上は白く下は濃く染めた几帳。紫または紺。
菖蒲襲のあくめ 表青、裏濃い紅梅色、裏白とも。「衵」童女の表着。
二藍ふたあい汗衫かざみうすもの 「二藍」紅と藍の中間色。「汗衫」童女が晴れのとき上に着る。
おうち おうちの花に似た薄紫色。
撫子の若葉の色 薄萌黄色(うすもえぎいろ)。
濃き一襲ひとえがさね 濃い紅の単二枚を重ねた上に。
撫子襲の汗衫かざみ 「撫子襲」表紅梅、裏青。「汗衫」平安時代の貴族階級の女児用の薄手の上着。 元来は汗取りとして着用されたものであったが、軽便な上着として子供服に採用されて高級化し、貴族女児の正装となった。
ひつじの時 午後二時頃。
次将すけたち 中、少将。手結には参加しない人々も顔を見せた。
女は、何のあやめも知らぬことなれど 女は(武張った騎射など)何も分からないことだけど。五日にちなんで菖蒲を掛けた。「あやめ」わけ、分別。
身を投げたる手まどはしなどを見るぞ 我を忘れてうろたえる姿などを見るのは。
打毬楽たぎゅうらく」「落蹲らくそん いずれも、楽曲の名。競馬、騎射、相撲の時に奏される。
勝ち負けの乱声らぞうどもののしるも この場合、左が勝てば打毬楽を、右が勝てば落蹲を乱声で奏したもの。乱声は拍節なしに笛と太鼓で奏され、乱れた調子に聞こえる。「ののしる」大騒ぎする。
そちの親王 桐壺院の皇子で源氏の異腹の弟。太宰の帥。この日参会した人物。ここだけに見える人物。
大君けしきにぞものしたまひける 諸王くらいの風格でございます。「大君」は親王宣下のない皇子、皇孫の称。王族程度の品格。親王より劣るの意。
いとほしきものにしたまへば (一節に、「厭う」と同源」。  困ったものとお考えなので。「いとおしい」①見ていられないほどかわいそう。気の毒である。②困ったことである。
右大将などをだに 髯黒の大将。
近きよすがにて見むは、飽かぬことにやあらむ (玉鬘の婿として)近い縁者として付き合うのは、物足りない。
今はただおほかたの御睦びにて、御座なども異々にて大殿籠もる 今はただ表向きの夫婦仲というだけで、お寝床なども別々にお寝みになる。
おほかた、何やかやともそばみきこえたまはで 大体が何やかやと嫉妬めいたことをおっしゃることもなく。
その駒もすさめぬ草と名に立てる汀の菖蒲今日や引きつる その馬も食べない草と名高い水際の菖蒲(あなたに相手にされない私)を、今日は五日ですので、お引き立てくださったのでしょうか。駒は騎射にちなむ。(新潮)/ 馬さえ食べない草とと評判の、汀のあやめのわたくしを、今日は節句なので、引き立ててくださったのですか。(玉上)
鳰鳥におどりに影をならぶる若駒はいつか菖蒲に引き別るべき 鳰鳥におどり(かいつぶり)のように、いつも二人水に影を映している若駒の私は、いつ菖蒲のあなたと別れることがありましょうか。鳰鳥はいつも雄雌つがいでいる。(新潮)/ におどりと影を並べる若駒のわたしです。いったいいつ菖蒲(あなた)と別れたりするものですか。(玉上)
つきなからぬ若人あまたあり< (物語の蒐集、書写、挿絵かきなどに)うってつけの若い女房は大勢いる。「つきなからぬ若人」絵物語のすさびごとに不似合いでない、そういう遊びの上手にできる若い女房。
『住吉』の姫君の 『住吉物語』の主人公。典型的な継子いじめの物語。昔、中納言で左衛門の督(かみ)を兼ねていた人の宮腹の美しい姫君が、継母の讒言で入内もかなわず、縁談も壊され、継母の姦計で年七十ほどで目のただれた主計頭(かぞえのかみ)に盗みだされようとする。そこで姫君は、故母宮の乳母の住吉の尼君の許に身を寄せてわび住まいするうち、長谷寺の観音のお導きで、姫を慕う少将に見出され、都に帰ってしあわせになる。「さしあたりけむは」云々は、その住吉の姫君の世評。
さしあたりけむ折はさるものにて その当時の世評がすばらしかったことは当然として。
今の世のおぼえもなほ心ことなめるに 今の世の受けもやはりたいしたもののようだが。
ほとほとしかりけむなどぞ ほとんどであったこと。あやうく盗まれるところであったのを。
見るにも飽かず、聞くにもあまることを 見ているだけでは満足せず、聞くだけでは自分の胸ひとつに収めておけないことを。
人に従はむとては 読者の好奇心におもねろうとしては。
皆かたがたにつけたる 皆、善悪それぞれの面で誇張しただけのことであって。
方等経 華厳・法華などの大乗経典の総称。/ 大乗では、大乗経典を総称する。天台では、五時教(華厳時・阿含時・方等時・般若時・法華時)の第三時の経を言う。それ以前の教えは方便にすぎない、とするのである。なお、「方等」とは方正平等の意。諸法処聖に通ずる意である。
菩提と煩悩との隔たりなむ、この、人の善き悪しきばかりのことは変はりける 悟りと迷いの違いとは、今ここでいう、物語に誇張された善人と悪人の違いと同じ程度の違いなのです。逆に言えば、煩悩即菩提の道理と同じように、善といい悪といっても、、この世のほかのことではないという点で、結局は一に帰すると論を結ぶ。前出の「この世の他のことならずかし」に対応する。
わざとのことにのたまひなしつ ほんとうにたいしたもののように論じてしまわれた。「わざとのこと」わざわざ目的があって作ったもの。
思ひあまり昔の跡を訪ぬれど親に背ける子ぞたぐひなき 思案に余って昔の人のこと(物語)を捜しても親の意向に背く子は例がありませんよ。(新潮)/ 思い余って捜してみても、親にそむいた子は例がない。(玉上)
古き跡を訪ぬれどげになかりけりこの世にかかる親の心は 昔の人を捜してみても、おっしゃるとおり例のないことでした、この世にこうした(娘におもぃをかけるような)親の心は。(新潮)/ 昔の本を捜してみましても、おっしゃるとおり、ございませんでした。この世にこんな親の心はございません。(玉上)
かくして、いかなるべき御ありさまならむ こんな具合で、末はどうなるお二人の仲なのでしょう。草子地。
何心もなくて昼寝したまへるところを、昔のありさま思し出でて 源氏を疑うこともなく無邪気に馴れ親しんでいた昔のわが身の有様を思いだしになって。幼い姫君が昼寝していたところへ男君が来て契りを結ぶといった場面と思われる。(新潮)
この世馴れたる物語など 「世」は男女の仲。世なれたことの話。男女の恋愛を書いた物語。
みそか心つきたるものの娘などは 「みそか」ひそか、内緒。秘密の恋をする娘には。
こよなしと (実子と継子では)たいへんな違いだ。「こよなし」程度がこの上ない。格別である。他と比べてことのほか違っている。
心浅げなる人まねどもは 物語の人物にあさはかに見習ったのは。
いと重りかにはかばかしき人にて とても思慮深くしっかりした人手で。たいそう落ち着いてしっかりした人で。
人びとしく立てたる趣きことにて、よきほどにかまへぬや 一人前に人々がそれぞれ自分を譲らす、物の加減ということを知りません。/人それぞれに考えが違うので、物の程度ということを知らないのだ。
点つかれたまふまじく 後ろ指をさされないように。非難をこうむらないように。「点つかる」非難される。欠点を言い立てられる。
心見えに心づきなし (継母の)心底がよく分かって、気に入らぬと思うので。
おほかたの心もちゐなども、いとものものしく、まめやかにものしたまふ君なれば (夕霧は)何事につけ物の考え方なども、とても思慮深く、まじめ一方でいらっしゃる方なので。
さもありぬべきあたりには、はかなしごとものたまひ触るるはあまたあれど 相手にして恥ずかしく所には、冗談をお言いかけになる、そういう相手はいくらもいるが。/ しかるべきあたりには。機会もあり気も引かれる女がいる所には。軽い気持ちで言い寄ったりなさる女は大勢いるけれど。
頼みかくべくもしなさず 女が結婚の望みをいだくようには仕向けない。
さる方になどかは見ざらむと、心とまりぬべきをも、強ひてなほざりごとにしなして 夫人あるいは愛人として世話してもよいなと、気に入りそうな女も、強いて一時の浮気ということにして。
なほ「かの、緑の袖を見え直してしがな」と思ふ心のみぞ、やむごとなき節にはとまりける 「緑の袖」は六位の束帯で緑である。当時雲居の雁の乳母に馬鹿にされた。今は四位の黒袍。/ 「緑の袖と馬鹿にされたのを見返してやりたい」と思う心だけが、重大事として忘れられないのだ。
あながちになどかかづらひまどはば 是が非でもとしつこくお願いしたら。「かかづらひまどはば」終始追いかけまわして、嘆くところを見せれば。
倒ふるる方に許したまひもしつべかめれど 根負けして許してくださるだろうが。「倒ふる方に」根負けしてととる説が多い。不詳。
「つらしと思ひし折々、いかで人にもことわらせたてまつらむ」と思ひおきし 「(仲をさかれて)ひどいと思った折々に、どうか内大臣にも理非を分けて反省していただこうと心の決めたことが、/ くやしいと思ったあの折々、どうかしてあの内大臣にも後悔させてあげようと考えたことが・・・。「ことわらせたてまつらむ」わからせてあげよう。
正身ばかりには、おろかならぬあはれを尽くし見せて 雲居の雁ご本人だけには、並々ならぬ自分に気持ちを十分に示して。/
おほかたには焦られ思へらず 表向きはあせらずかまえている。
ものはかなかりける親の心に引かれて 思慮もない頼りない女だった母親の料簡のせいで。/ 頼りない母親の心に油断して。
女御も、かく思ししことのとどこほりたまひ 弘徽殿の女御も、意に反し、源氏の推す秋好む中宮が立后したこと。/
姫君も、かくこと違ふさまにてものしたまへば 娘の雲居の雁も東宮妃を志していたのに、夕霧と恋仲になってしまったこと。
はかなきもの倦むじをして つまらぬことで私を恨んで(姿を隠して)「もの倦(うむ)じ」は、悲観すること。
もし、年ごろ御心に知られたまはぬ御子を、人のものになして、聞こしめし出づることや もしや長年お気づきでいらっしゃらないお子を、誰かの養女としてお耳になさっていることがございませんか。

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公開日2019年7月27日