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桐壷帝に寵愛された更衣(桐壷更衣)は、美しい第二皇子光源氏を産んで死んでしまう。帝は、第一皇子(後の朱雀帝)が春宮(皇太子)に立たれるに際し、光源氏を高麗の相人の占いに従って臣籍にお下しになった。元服した源氏は、葵上(左大臣の娘5~16)と結婚するが、亡き母に代わって入内した藤壺宮を思慕するようになった。
五月雨の降り続くある夜、源氏は頭中将(葵上の兄)らから経験談や女性論を聞く「雨夜の品定め」。その翌日、源氏は方違にかこつけて中川の紀伊守邸を訪れ、その後、紀伊守の父伊予之介の後妻空蝉と契った。
源氏は空蝉の弟小君の案内で、紀伊守邸を訪れ、空蝉が継娘軒端荻と碁を打っている様を垣間見る。その夜、空蝉の部屋に忍び込むが、空蝉は源氏との再会を拒んだ。
源氏は重病の大弐乳母を五条の家に見舞い、惟光(乳母の子)のはからいで隣家の夕顔(19)を知り始めるが、やがて夕顔は、源氏が連れ出した近くの荒廃した某院で、物の怪にとりつかれて死んでしまう。夕顔には頭中将との間に女の子(玉鬘)がいた。
源氏は、「わらは病み」の加持のため北山の聖を訪ねた折り、近くの小さな庵室で美しい少女紫上(藤壺の姪、10)を見出した。北山から帰京した源氏は、三条宮に里下りしていた藤壺(23)に会い、夢のような契りを交わす。藤壺は源氏の子(後の冷泉帝)を宿し、二人は罪の深さにおののく。その年の秋、紫上の祖母が亡くなり、兵部卿宮(紫上の父)が紫上を引き取ろうとしていることを知り、急いで二条院へ迎えた。
夕顔に代わる人を探していた源氏は、常陸宮の姫君末摘花を知る。源氏は姫君の鼻が赤く長く垂れているのに驚くが、姫君の面倒を見ようと決心する。
桐壷帝の朱雀院院への行幸に先立ち試楽が催され、源氏は頭中将を相手に青海波を舞う。翌年、藤壺は皇子(後の冷泉帝)を産む。藤壺は中宮に、源氏は参議に昇進する。
翌年、南殿(紫宸殿)で花の宴が催され、源氏は春鶯囀を舞った。その夜、弘徽殿の細殿で美しい女性に出会い、一夜を過ごす。のち源氏は、彼女が春宮(朱雀帝)に入内する予定の朧月夜君(弘徽殿女御の妹)であることを知った。
桐壷帝が譲位し朱雀帝が即位した。賀茂かもの御禊の日、行列見物に来ていた葵上(26)と六条御息所(29~30)が、車をとめる場所のことで争い、御息所の車は葵上の下部からひどいはずかしめを受けた〔車争い〕。葵上は御息所の生霊に苦しめられ、男の子を産んで急死した。葵上の忌みが明けて源氏は紫上と結婚した。
六条御息所は、源氏への愛情を絶とうとして、娘の斎宮とともに伊勢へ下ることを決意する。一方、桐壷院が崩御され、権勢は反源氏の右大臣方に移る。藤壺(28~30)は出家し、右大臣方は源氏を失脚させようと策略をめぐらす。
夏、故桐壷院の麗景殿女御を訪れた源氏は、その妹花散里と契った。この人は温和な人であった。
時勢が変わり、自分の側の情勢が不利であることを察して、源氏はわずかなお供を連れて須磨に下った。右大臣方をはばかって、須磨を訪れる人はなく、源氏にとっては、都の人々と便りを交わすことだけが慰みであった。
大暴風雨に襲われた夜、亡き父帝が夢にあらわれ、そのお告げで源氏は明石へ移った。その後、明石入道の娘明石上(18~19)を知り、結ばれる。一方、朱雀帝の一族にも相次いで不幸が起こり、帝はこれを源氏を苦しめた報いと考え、源氏召還の宣旨を下された。源氏は懐妊中の明石上を残して帰京した。
源氏の帰京後、朱雀帝は譲位され、冷泉帝(源氏と藤壺との間の子 10~11)が即位された。源氏一門に再び春がめぐってきた。源氏と離れて住む明石の上は女の子(明石姫君)を産む。六条御息所(35~36)は娘の前斎宮(秋好中宮)とともに伊勢から帰京したが、重い病にかかり、源氏に娘の将来を頼んで世を去る。源氏は前斎宮を養女とした。
源氏が須磨・明石に退去していた間、末摘花は困窮の日々を送るが、やがて源氏に引き取られて、幸せを得る。
源氏は石山詣での途中、逢坂山で、かって苦しい恋に悩んだ空蝉が、任期満ちて上京する夫常陸介に伴われて上京するのに出会って、感慨無料となる。その後、夫は老病で亡くなり、世をはかなんで空蝉は出家する。
六条御息所の娘(秋好中宮、22)が源氏のはからいで入内、梅壺に入り、冷泉帝の女御となった。冷泉帝は絵を好み、梅壺方と弘徽殿方の間で絵合わせが行われ梅壺方が勝った。
二条院の東院が造営され、源氏は明石上(22)とその姫君明石姫君(3)に上京を勧める。明石姫君を二条院に引き取りたいという源氏の意向に、紫上(23)は快く同意した。
冬の寒い日、明石姫君は二条院に引き取られたが、紫上に可愛がられていると聞き、明石上は安心した。太政大臣(葵上の父)が死に、出家した藤壺(36~37)も亡くなり、源氏は深く悲しんだ。ある夜、冷泉帝は夜居の僧から、実父は源氏であるという秘密を知らされ非常に驚き、源氏に帝位を譲ろうとしたが、源氏は固辞した。
紫上は源氏と朝顔の君との噂を聞いて煩悶した。ある雪の夜、源氏は昔や今の女性のことを紫上と語り合うが、源氏の夢に藤壺が現れ、そのことを恨んだ。
年が明けて、源氏は太上大臣となり、六条御息所の旧邸を修理して、六条院を造営する。六条院には四つの町があり、源氏と紫上は春、花散里は夏、秋好中宮は秋の景色を配した御殿に住み、少し後に、明石上が冬の景色の御殿に移り住んだ。
筑紫へ下った夕顔の遺児玉鬘(21、父は頭中将)は、大夫監の強引な求婚を避けて上京、初瀬詣での途中、椿市で夕顔のかっての侍女右近に会い、やがて源氏に引き取られる。
源氏は六条院で紫上と新春を祝う。玉鬘の上京も重なり、六条院は華やかになる。
玉鬘の美しさは評判となり、源氏の弟の蛍兵部卿宮は妻にと望み、内大臣の子柏木(20)は異母姉とも知らず思いを寄せる。っ源氏もその美しさに心を引かれていた。
源氏が多くの蛍を玉鬘の顔のあたりに放つと、
真夏のある日、源氏は玉鬘を訪ね、夕涼みを楽しむ。
秋、玉鬘に添い寝した夜、源氏は篝火で美しく映える玉鬘を見て心が激しく揺れる。
野分の吹くころ、父源氏の見舞いに来た夕霧(15)は紫上を見て、その美しさに驚く。
源氏は玉鬘の将来を考え、内大臣(頭中将)に玉鬘の素性を打ち明けた。内大臣は成人した娘の姿を見て涙を落した。源氏は玉鬘を尚侍として入内させようと思った。
玉鬘は入内には気乗りがしなかった。夕霧は玉鬘に言い寄ったが、玉鬘は応じなかった。一方、玉鬘が最も嫌っていた髭黒大将が玉鬘に執心し、求婚の手紙を出した。
髭黒大将は侍女の手引きで玉鬘を手に入れた。大将の北の方と娘は実家に帰った。
六条院では、明石姫君の裳着の式が行われ、春宮への入内の準備が進められた。
夕霧(18)は長い間の恋が実って、雲居雁(20)と結婚することになった。同じ月、明石姫君が入内した。その時、紫上と明石君は初めて対面した。秋、源氏は太上天皇に准ぜられ、内大臣は太政大臣に、夕霧は中納言に昇進した。冷泉帝と朱雀院が源氏の六条院へ行幸されるなど、源氏一門の栄華は極まる。
朱雀院は、女三宮(13~15)の行く末を案じ、源氏に託して出家された。後見を望んでいた柏木(23~25)は失望した。源氏の四十の賀が催され、女三宮が六条院へ移られ、紫上は一人寝の夜が多くなった。柏木は六条院の蹴鞠の会で女三宮を見て、恋に陥る。
柏木は女二宮(落葉宮)と結婚したが、女三宮のことが忘れられなかった。柏木と契った女三宮は懐妊する。これを源氏が知り、かっての藤壺との一件を回想し、宿命の恐ろしさにおののく。柏木は苦悶のために病床につく。
女三宮(22)は男の子(薫)を産んで出家する。柏木(32)は見舞いに来た夕霧(27)に秘密を打ち明け、源氏の許しを乞い、落葉宮の行く末を頼んで死ぬ。源氏は、人間の宿命の恐ろしさを感じる。
源氏は柏木の一周忌を盛大に営んだ。夕霧は落葉宮(柏木の北の方)を慰めていたが、落葉宮の母から、柏木遺愛の横笛を贈られた。
夏、蓮の花の咲くころ、女三宮の持仏供養を兼ねて出家披露が行われた。秋に、源氏は女三宮を訪ね、鈴虫の宴を開いた。
夕霧は次第に落葉宮にひかれ、その仲を聞いた雲井雁(31)は怒って、父大臣のもとに帰ってしまう。
紫上(43)は大病以来日ましに衰弱し、出家を願ったが源氏は許さなかった。紫上は二条院で法華経千部の供養を行った。八月一四日暁、源氏と明石中宮(明石姫君・23)に見守られながら静かに息を引き取った。源氏は悲嘆に暮れ、やがて出家の志を固めた。
源氏は、紫上のありし日をしのびながら、出家を決意し た。「雲隠」の巻は巻名だけで本文はない。この間に源氏は出家し、世を去る。ここに源氏の物語は終わる。
源氏の没後、それに代わる人として、薫かおる(女三宮の若君)と匂宮(今上帝と明石中宮との間に生まれた三宮15~21)とが、すぐれた人として噂されていた。明るく社交的な匂宮に対し、薫は、出自を感知してか、まじめさの中にどことなく暗い影を宿していた。
蛍宮の死後、真木柱(髭黒の娘)は紅梅大納言(柏木の弟)と再婚する。大納言は先妻が産んだ中君(24)を匂宮に勧めるが、匂宮は継姫君(真木柱の娘)に心を寄せていた。
髭黒の没後、玉鬘腹の大君(16~25)は冷泉院にのぼり、中君は母に代わって今上帝の尚侍となった。蔵人少将(夕霧の子)は宰相となり、竹河左大臣の娘と結婚した。
薫は、源氏の異母弟八宮を宇治の山荘に訪ねる。八宮は出家の志があることを話し、薫に二人の娘大君(22~24)と中君(20~22)の行く末を頼んだ。その夜、薫は弁の乳母から、自分の出生の秘密ー自分が源氏の子ではないことーを知らされ、実父柏木の形見の手紙などを受け取り、空恐ろしさを覚える。
八宮は娘たちの後事を託して死ぬ。薫は大君に恋し、匂宮は中君を慕う。
八宮の一周忌の後、薫は大君との結婚を望むが実らず、大君(26)は心労が重なり死ぬ。
匂宮は中君を二条院に迎えた。春、花の盛りのころ、薫は二条院を訪れ、中君といろいろと思い出話にふけった。これを見て、匂宮は二人の仲を疑った。
匂宮が六君(夕霧の娘)と結婚したため、中君は悲しむ。ある時、薫は中君から、大君に生き写しともいう、異母妹浮舟のことを聞いて、激しく心を動かされた。薫は宇治を訪れ、浮舟を垣間見て、心をときめかす。
二条院の中君(26)のもとに預けられていた浮舟(21)は、匂宮(27)に迫られたため、急いで三条の小家に移された。薫は二人の愛を育てようとして、秋、時雨の降る夜、三条の家を訪れ、翌朝浮舟を車に乗せて宇治の山荘に移した。
匂宮は薫の留守をねらって宇治を訪れ、薫を装って浮舟に近づき、契りを結んだ。浮舟は薫と匂宮との二人の愛にはさまれて苦しみ、宇治川に身を投じる決意をした。
浮舟が失踪し、遺骸のないまま葬儀を行った。薫も匂宮も悲嘆の涙にくれるが、多情な匂宮は、まもなく故式部卿の忘れ形見の姫君に思いを寄せていく
浮舟は生きていた。横川僧都の一行に助けられ、洛北の小野に移り、剃髪してしまう。薫が浮舟の生存を知ったのは、浮舟が出家した後であった。
薫は横川僧都を訪ね、浮舟の生存を確かめた。浮舟に会わせてほしいと頼むが、僧都は仏罰を恐れて聞き入れない。薫は小君(浮舟の弟)を遣いに出して浮舟に手紙をやり、下山を勧めたが、浮舟は小君にも会わず、手紙も受け取らなかった。小君が空しく帰京した。
※ このページは、『新訂国語図説』五訂版(株式会社京都書房 2020年1月21日五訂版第2刷発行)から、御了解を得て、そのまま転載させていたいただいております。源氏物語のあらすじとして、簡にして要を得ていると思ったからであります。
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