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薫は、浮舟を宇治の邸に一時的に隠したが、いずれ京へ迎えようと思っていた。匂宮は垣間見た浮舟を忘れることができず、宇治から中君の処に来た新年の挨拶の文で、宇治にあの女がいることを知り、薫の邸の事情に通じた家司に探らせて、薫が宇治に女をかくまっていることをつきとめ、お忍びで宇治へ行った。
薫と偽って部屋に入り、首尾よく契りを結んだ。匂宮はすっかり浮舟に夢中になり、浮舟も一途な匂宮に惹かれた。匂宮はその後も、忘れられず、お忍びで宇治へ行き、舟で宇治川の向こう岸の仮屋にまで行って、二日間二人で逢瀬を重ねるのだった。
巻名は、このときの小舟のなかで唱和した歌による。
宮も浮舟を京へ連れて来るべく住まいの準備をした。薫は、浮舟を京につれてくる段取りをしていたが、匂宮の微行をそれとなく気づいて、宮を近づけない為に宇治の警備を厳重にするよう申し付けた。一時は浮舟を宮に譲ろうかとまで思ったが、浮気な匂宮が手を付けた女を、姉の一宮の侍女にしているのを思い、浮舟をそんな扱いにさせたくないと思うのだった。
匂宮と薫と、二人の男に愛された浮舟は、どちらか一方に思いを寄せることができず、身の置き所がなくなって、思いつめて入水を決意した。
匂宮は薫と偽って宇治の浮舟の部屋に入って契り、翌日は向う岸にわたり逢瀬は二日間に及んだ。橘の小島という所で棹とめて、小舟の中の相聞。
年経とも変はらむものか橘の小島の崎に契る心は (匂宮)(51.24)
歌意 小島の崎の橘に誓って年を経ても心変わりは致しません
橘の小島の色はかはらじをこの浮舟ぞゆくへ知られぬ (浮舟)(51.24)
歌意 お約束されたお気持ちは変わらないでしょうけれど、この浮舟のようなわが身はどこへ行くのでしょう
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。
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