源氏物語  御法 あらすじ 章立て 登場人物

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御法 あらすじ

源氏 51歳 准太上天皇

 紫の上の病状は一向によくならない。紫の上は再三出家を願うが、源氏は生きている間離れたくないとして、許可しない。
紫の上は、書き溜めた法華経千部を供養すべく、紫の上の自分の邸、二条院で行うことになった。紫の上は事細かにその準備するのだった。
 紫の上が病床に伏している二条院に、明石の中宮や花散る里が来て、それぞれ別れをして、歌を贈る、巻名はこの時の相聞による。
 紫の上は大事に育てた明石中宮に看取られて死んだ。
 夕霧は、昔かいま見てその美しさに驚いた紫の上の死顔をゆっくり見て、改めてその美しさに打たれる。
 帝をはじめ、致仕大臣、その他の高位高官たちの弔問はひきもきらずやってくるのだった。
 物語の作者は、紫の上の生涯を通してその人となりを次のように書いた。

世の中に幸ひありめでたき人も、あいなうおほかたの世にそねまれ、よきにつけても、心の限りおごりて、人のため苦しき人もあるを、あやしきまで、すずろなる人にも受けられ、はかなくし出でたまふことも、何ごとにつけても、世にほめられ、心にくく、折ふしにつけつつ、らうらうじく、ありがたかりし人の御心ばへなりかし。
(世に幸運な人も、困ったことに世間にそねまれたり、高い身分の人でも、奢って周りの人を困らせる方もあるのに、紫の上は不思議なほど、何でもない人にも評判がよく、ほんの少しのことをやっても、それが何であれ、世にほめられ、奥ゆかしく、その折々につけて、行き届いていて、世にもまたとないすぐれた人柄であった)
一方、紫の上をなくした源氏の悲しみは尋常でない。源氏は自分の生涯を振り返って、とても出家できないのではないかと嘆くのだった。

巻名の由来

自ら催した法華経千部供養の法会が終わって、皆帰ろうとするとき、永遠の別れを惜しむかのように、紫の上が花散る里に詠いかけ、花散る里が返す。

絶えぬべき御法みのりながらぞ頼まるる世々にとむすぶ中の契りを (紫の上) (40.4)
歌意 これがわたしの最後の法会でしょうが、この結縁によって正々世々結ばれたあなたとのご縁を信頼します
結びおく契りは絶えじおほかたののこりすくなき御法みのりなりとも (花散る里) (40.4)
歌意 すばらしい法会で結ばれたわたしたちの格別なご縁は後の世まで絶えることはないでしょう、大方の人には残り少ない縁であっても

御法 章立て

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40.1 紫の上、出家を願うが許されず
 紫の上、いたうわづらひたまひし御心地の後、いと篤しくなりたまひて、そこはかとなく悩みわたりたまふこと久しくなりぬ。
40.2 二条院の法華経供養
 年ごろ、私の御願にて書かせたてまつりたまひける『法華経』千部、いそぎて供養じたまふ。
40.3 紫の上、明石御方と和歌を贈答
 三月の十日なれば、花盛りにて、空のけしきなども、うららかにものおもしろく、仏のおはすなる所のありさま、・・・。
40.4 紫の上、花散里と和歌を贈答
 昨日、例ならず起きゐたまへりし名残にや、いと苦しうして臥したまへり。
40.5 紫の上、明石中宮と対面
 夏になりては、例の暑さにさへ、いとど消え入りたまひぬべき折々多かり。
40.6 紫の上、匂宮に別れの言葉
上は、御心のうちに思しめぐらすこと多かれど、さかしげに、亡からむ後などのたまひ出づることもなし。
40.7 紫の上の部屋に明石中宮の御座所を設ける
 秋待ちつけて、世の中すこし涼しくなりては、御心地もいささかさはやぐやうなれど、なほともすれば、かことがまし。
40.8  明石中宮に看取られ紫の上、死去す
風すごく吹き出でたる夕暮に、前栽見たまふとて、脇息に寄りゐたまへるを、院渡りて見たてまつりたまひて、・・・。
40.9 源氏、紫の上の落飾のことを諮る
 宮も、帰りたまはで、かくて見たてまつりたまへるを、限りなく思す。
40.10 夕霧、紫の上の死に顔を見る
 年ごろ、何やかやと、おほけなき心はなかりしかど、「いかならむ世に、ありしばかりも見たてまつらむ。
40.11 紫の上の葬儀
 仕うまつり馴れたる女房などの、ものおぼゆるもなければ、院ぞ、何ごとも思しわかれず思さるる御心地を、・・・。
40.12 源氏の悲嘆と弔問客
 大将の君も、御忌に籠もりたまひて、あからさまにもまかでたまはず、明け暮れ近くさぶらひて、・・・。
40.13 帝、致仕大臣の弔問
 所々の御とぶらひ、内裏をはじめたてまつりて、例の作法ばかりにはあらず、いとしげく聞こえたまふ。
40.14 秋好中宮の弔問
 冷泉院の后の宮よりも、あはれなる御消息絶えず、尽きせぬことども聞こえたまひて、・・・。

御法 登場人物

  • 光る源氏  ひかるげんじ 五十一歳   ····· (呼称)六条の院・院、
  • 紫の上  むらさきのうえ 源氏の正妻 ····· (呼称)女君・上・婆、
  • 今上帝  きんじょうてい  朱雀院の御子 ····· (呼称)内裏・内裏の上、
  • 匂宮  におうのみや 今上帝の第三親王 ····· (呼称)三の宮・宮、
  • 明石の中宮  あかしのちゅうぐう  今上帝の后 ····· (呼称)后の宮・中宮・宮、
  • 明石の御方  あかしのおんかた 源氏の妻 ····· (呼称)明石の御方・明石、源氏の妻
  • 秋好中宮  あきこのむちゅうぐう 冷泉院の后 ····· (呼称)冷泉院の后の宮、
  • 致仕大臣  ちじのおとど 源氏の従兄弟 ····· (呼称)大臣、
  • 夕霧  ゆうぎり 源氏の長男  ····· (呼称)大将の君・大将・君、
  • 花散里  はなちるさと 源氏の妻 ····· (呼称)花散里の御方、

※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。

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源氏物語  御法 あらすじ 章立て 登場人物

公開日2020年8月3日/ 2023年8月6日