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その年の師走、冷泉帝の大原野への行幸があった。源氏も参加を請われたが物忌みを理由に辞退した。玉鬘は大勢の見物人とともに見学した。
玉鬘に求愛している兵部卿宮も髯黒右大将も参列した。念願の父の内大臣の姿も目に止めた。玉鬘は宮中の上達部たちが一堂に会した行列を見て、帝にまさる美し人はいないと思った。
源氏は玉鬘に尚侍として宮使いを勧め、玉鬘は帝の寵を受けることなく一般職として側に仕えてお目通りできるなら、その方がよいと思う。
一方、玉鬘の裳着の儀が源氏によって計画されていた。この際、やはり内大臣に玉鬘があなたの娘だと告げて腰結いを内大臣のやってもらおうと源氏は計画したが、事情をよく知らない内大臣は母の病気を理由にいったんは断った。
高齢な大宮は病がちになり、夕霧は頻繁に見舞って世話していたが、源氏も見舞いに上がったとき、玉鬘のことを宮に話した。ご無沙汰をしていた内大臣は慌てて母を見舞うことになり、三条邸で二人は面談し旧交をあたためるのだった。玉鬘の裳着の儀の腰結い役を内大臣は引き受けることになった。
裳着の儀では、内外から多くの祝いの品が寄せられた。
近江の君は、玉鬘の厚遇を聞いて、嫉妬した。内大臣邸では、近江の君は、笑い者、厄介者扱いされていた。
冷泉帝への入内を、玉鬘は決めかねている。冷泉帝の行幸を見て、翌日に源氏と相聞。源氏がどうでしたかと問う。
うちきらし朝ぐもりせし行幸には さやかに空の光やは見し (玉鬘)(29.4)
歌意 霧が深く立ち込め朝曇りしてましたので、行幸の場では、はっきりと帝を見えませんでした。
あかねさす光は空に曇らぬをなどて行幸に目をきらしけむ (源氏)(29.4)
歌意 あかねさす光のような、美しい帝のお姿は輝いておりましたのに、どうしてあなたはあの行幸の場で目を霞ませてしまったのですか。
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただし章分けは省略しました。氏の驚くべき労作に感謝します。
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