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年改まり、六条院の新年を迎える様子が描かれる。
年立ちかへる朝の空のけしき、名残なく曇らぬうららかげさには、数ならぬ垣根のうちだに、雪間の草若やかに色づきはじめ、いつしかとけしきだつ霞に、木の芽もうちけぶり、おのづから人の心ものびらかにぞ見ゆるかし。まして、いとど玉を敷ける御前の、庭よりはじめ見所多く、磨きましたまへる御方々のありさま、 まねびたてむも言の葉足るまじくなむ。年が改まり、邸うちは実に晴れやかに新年を迎えた。年末に贈った衣裳が晴れの日にどのように着られているか、見る楽しみもあり、源氏は、六条院だけでなく、二条院にもわたって、末摘花やの空蝉の処にも新年の挨拶まわりをする。紫の上は春の御殿に住み、梅の香も御簾の内に入ってきて、「生ける仏の御国とおぼゆ(極楽浄土のようだ)」と描写される。 夏の町には花散里が住み、「実にひっそりして、風流をてらうこともなく品よく住んでいる」と描写される。 美しい玉鬘の処にも寄って、冬の町明石の君の住まいに行き、この日はここに泊まり、夜明け前に紫の上の処に帰るのだった。
(年が改まった朝の空の気配、晴れ渡ったうららかな空模様は、数ならぬ者の家の内にも、雪の間から若草が色づきはじめ、春待つけしきの霞がたち、木も芽生え、おのずと人の心ものびやかに見えてくる。まして、六条院は、玉を敷きつめった御前の庭からはじまって見所が多く、磨きたてた女君たちの御殿の様子は、そのまま形容しようにも言葉が足りないだろう)
新年は源氏は女君たちに挨拶にまわる。そこで明石の君の処に行く。母の思いにあわれを感じ、源氏が仲を取って、娘と相聞になる。
年月を松にひかれて経る人に今日鴬の初音聞かせよ (明石の君) (23.2)
歌意 長の年月対面を待っているわたしにせめて鶯の初音を聞かせて下さい
ひき別れ年は経れども鴬の巣立ちし松の根を忘れめや (明石の姫君)(23.2)
歌意 お別れしてから母上にお会いしていませんが、どうして巣立った所を忘れられましょうか
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。
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