源氏物語  玉鬘 あらすじ 章立て 登場人物

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玉鬘  あらすじ

源氏 35歳 太政大臣
源氏 35歳 太政大臣

 廃院で、夕顔が急死してから。長い年月がたったが、源氏は夕顔のことを忘れる時がなかった。あのときその場にいた右近も今は紫の上に仕えていた。もし夕顔が生きていたら、明石の上くらいの待遇は受けていたはずと悲しく思うのだった。 
夕顔の遺児玉鬘は、乳母の夫が太宰の少弐になって任地に赴任するため、母夕顔の安否がわからぬまま、乳母と一緒に任地へ行った。任期の5年が終わるころ太宰の大弐が亡くなり、姫君の美しさは評判になり、なかでも、大夫たゆうげんといってこの地域に権勢のある者が、求愛してきた。弟たちを味方につけた大夫は、結婚の日取りを決めて迫ったが、長男の豊後の介ぶんごのすけは父の遺言を守り、一家で京へ上る決断をした。妹も夫子どもを置いて上京した。豊後の介一行は、逃げるように早舟で上京した。
 知り合いの所に落ち着いて、寄る辺なく、石清水八幡に詣で、初瀬の寺に詣でて願掛けをする。そこへたまたま初瀬詣でに来ていた夕顔のかっての侍女の右近がこの一行を見て話しかける。
 右近から話を聞いた源氏は、六条の院に玉鬘を迎える。長男の豊後の介は家司となった。源氏は、夕霧同様、花散里に玉鬘の世話をお頼みになる。源氏には、美しい姫を目当てに弟の兵部卿の宮など出入りする貴公子たちの心を惑わして楽しもうという心づもりもあった。
 源氏は、年末には女君のひとりひとりにそれを装ったときの姿を想像しながら、新年の衣装を配るのだった。

巻名の由来
源氏は引き取った姫の美しさによろこんだ。玉鬘の呼称も巻名も源氏の歌による。
恋ひわたる身はそれなれど玉かづらいかなる筋を尋ね来つらむ  (源氏)  (22.26)
歌意 亡き夕顔を慕う気持ちは変わらないが、 この美しい髪の娘はどんな縁でわたしの処に来たのだろう
  (註)玉はかづらの美称。かづらは、髪にさす花・枝・飾り。地髪が短いときつかうそえ髪。
 

玉鬘  章立て

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22.1 源氏と右近、夕顔を回想
 年月隔たりぬれど、飽かざりし夕顔を、つゆ忘れたまはず、心々こころごころなる人のありさまどもを、・・・。
22.2 玉鬘一行、筑紫へ下向
母君の御行方を知らむと、よろづの神仏に申して、夜昼泣き恋ひて、さるべき所々を尋ねきこえけれど、つひにえ聞き出でず。
22.3 乳母の夫の遺言
 少弐、任果てて上りなどするに、遥けきほどに、ことなる勢ひなき人は、たゆたひつつ、すがすがしくも出で立たぬほどに、・・・。
22.4 玉鬘への求婚
 聞きついつつ、好いたる田舎人ども、心かけ消息がる、いと多かり。ゆゆしくめざましくおぼゆれば、誰も誰も聞き入れず。
22.5 大夫の監の求婚
大夫監とて、肥後国に族広くて、かしこにつけてはおぼえあり、勢ひいかめしき兵ありけり。
22.6 大夫の監の訪問
三十ばかりなる男の、丈高くものものしく太りて、きたなげなけれど、思ひなし疎ましく、荒らかなる振る舞ひなど、見るもゆゆしくおぼゆ。
22.7 大夫の監、和歌を詠み贈る
 下りて行く際に、歌詠ままほしかりければ、やや久しう思ひめぐらして、・・・。
22.9 都に帰着
 「かく、逃げぬるよし、おのづから言ひ出で伝へば、負けじ魂にて、追ひ来なむ」と思ふに、・・・。
22.10 岩清水八幡宮へ参詣
 九条に、昔知れりける人の残りたりけるを訪らひ出でて、その宿りを占め置きて、都のうちといへど、・・・。
22.11 初瀬の観音へ参詣
 「うち次ぎては、仏の御なかには、初瀬なむ、日の本のうちには、あらたなる験現したまふと、唐土にだに聞こえあむなり。
22.12 右近も初瀬へ参詣
これも徒歩よりなめり。よろしき女二人、下人どもぞ、男女、数多かむめる。
22.13 右近、玉鬘に再会す
からうして、  「おぼえずこそはべれ。筑紫の国に、二十年ばかり経にける下衆の身を、知らせたまふべき京人よ。・・・。
22.14 右近、初瀬観音に感謝
日暮れぬと、急ぎたちて、御燈明の事どもしたため果てて、急がせば、なかなかいと心あわたたしくて立ち別る。
22.15 三条、初瀬観音に祈願
国々より、田舎人多く詣でたりけり。
22.16 右近、主人の光る源氏について語る
明けぬれば、知れる大徳の坊に下りぬ。
22.17 乳母、右近に依頼
 「かかる御さまを、ほとほとあやしき所に沈めたてまつりぬべかりしに、・・・。
22.18 右近、玉鬘一行と約束して別れる
参り集ふ人のありさまども、見下さるる方なり。
22.19 右近、六条院に帰参する
 右近は、大殿に参りぬ。
22.20 右近、源氏に玉鬘との邂逅を語る
大殿籠もるとて、右近を御脚参りに召す。
22.21 源氏、玉鬘を六条院へ迎える
  かく聞きそめてのちは、召し放ちつつ、 「さらば、かの人、このわたりに渡いたてまつらむ。
22.22 玉鬘、源氏に和歌を返す
 正身そうじみは、 「ただかことばかりにても、まことの親の御けはひならばこそうれしからめ、・・・。
22.23 源氏、紫の上に夕顔について語る
上にも、今ぞ、かのありし昔の世の物語聞こえ出でたまひける。
22.24 玉鬘、六条院に入る
かくいふは、九月のことなりけり。
22.25 源氏、玉鬘に対面する
その夜、やがて大臣の君渡りたまへり。
22.26 源氏、玉鬘の人物に満足する
めやすくものしたまふを、うれしく思して、上にも語りきこえたまふ。
22.27 玉鬘の六条院生活始まる
 中将の君にも、 「かかる人を尋ね出でたるを、用意して睦び訪らへ」 とのたまひければ、・・・。
22.28 歳末の衣配り
 年の暮に、御しつらひのこと、人びとの装束など、やむごとなき御列に思しおきてたる、・・・。
22.29 末摘花の返歌
皆、御返りどもただならず。
22.30 源氏の和歌論
「古代の歌詠みは、『唐衣』、『袂濡るる』かことこそ離れねな。

玉鬘 登場人物

※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。

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公開日2019年4月21日/ 改定2023年4月16日