関屋 あらすじ
源氏 29歳 内大臣
常陸の介に任じられた伊予介は、空蝉も一緒に下向していたが、任期があけて上京した。おりしも源氏はお礼参りで石山寺に参拝するところであり、逢坂の関の関屋で行き会うことになった。
昔、文使いで召されていた小君は衛門の佐となり、また空蝉との間を往復する。やがて伊予介は年を重ねて、亡くなってしまう。下心がある継子の紀伊守は空蝉にやさしく接するが、空蝉は出家する。
巻名の由来
舞台となった逢坂の関の関屋からとったもの。歌はない。
関屋 章立て
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- 16.1 空蝉、夫と常陸国下向
- 伊予介といひしは、故院崩れさせたまひて、またの年、常陸になりて下りしかば、かの帚木もいざなはれにけり。
- 16.2 源氏、石山寺参詣
- 関入る日しも、この殿、石山に御願果しに詣でたまひけり。
- 16.3 逢坂の関での再会
- 九月晦日つごもりなれば、紅葉の色々こきまぜ、霜枯れの草むらむらをかしう見えわたるに、関屋より、さとくづれ出でたる旅姿どもの、 色々の襖あおのつきづきしき縫物、括り染めのさまも、さるかたにをかしう見ゆ。
- 16.4 昔の小君と紀伊守
- 石山より出でたまふ御迎へに右衛門佐参りてぞ、まかり過ぎしかしこまりなど申す。
- 16.5 空蝉へ手紙を贈る
- 佐召し寄せて、御消息あり。
- 16.6 夫常陸介死去
- かかるほどに、この常陸守、老いの積もりにや、悩ましくのみして、もの心細かりければ、子どもに、ただこの君の御ことをのみ言ひ置きて、
「よろづのこと、ただこの御心にのみ任せて、ありつる世に変はらで仕うまつれ」
とのみ、明け暮れ言ひけり。
- 16.7 空蝉、出家す
しばしこそ、「さのたまひしものを」など、情けつくれど、うはべこそあれ、つらきこと多かり。
関屋 登場人物
- 光る源氏 ひかるげんじ 二十九歳 ····· (呼称) 殿
- 空蝉 うつせみ 伊予介の後妻 ····· (呼称) 帚木・女君
- 伊予介 いよのすけ 空蝉の夫 ····· (呼称) 常陸・常陸守
- 紀伊守 きいのかみ 伊之介の子 ····· (呼称) 河内守・守
- 子君 こぎみ 空蝉の弟 ····· (呼称) 右衛門佐・佐
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。
公開日2018年8月30日/改定2023年3月14日