花宴 あらすじ
源氏 18~19歳 参議兼近衛中将
秋の紅葉賀に続き、二月には桜花の宴が開かれた。そこでは、舞いを舞い、詩文を作って、遊ぶのであったが、そこでも源氏の天賦の才は際立っていて、人々の賞賛の的だった。その夜、酔い心地で内裏の奥の藤壺のいる辺りをさ迷っていると、たまたま戸口の開いていた細殿に忍び入り、「朧月夜に似るものぞなき」とうたいながら来る女と契ってしまう。誰とも知らず、その場は扇を交換して別れたが女も源氏を憎からず思った。
惟光に女の素性を探らせて、相手は右大臣の息女、弘徽殿の女御の妹らしいことをつきとめた。
三月になり右大臣邸で藤の花の宴が開かれて、源氏も招待され、そこで女と再会した。それは右大臣の娘、弘徽殿女御の妹だった。しかもその春、東宮に入内予定だった。女は、有明の君または朧月夜と呼ばれる。
巻名の由来
秋の紅葉賀に続き、名は対になって、南殿の春の桜の宴が開かれる。巻名となる歌なし。
花宴 章立て
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- 8.1 二月二十余日、紫宸殿の桜花の宴
- 如月の二十日あまり、南殿の桜の宴せさせたまふ。
- 8. 2 宴の後、朧月夜の君と出逢う
- 夜いたう更けてなむ、事果てける。
- 8. 3 桜宴の翌日、昨夜の女性の素性を知りたがる
- その日は後宴のことありて、まぎれ暮らしたまひつ。
- 8. 4 紫の君の理想的成長ぶり、葵の上との夫婦仲不仲
- 「大殿にも久しうなりにける」と思せど、若君も心苦しければ、こしらへむと思して、二条院へおはしぬ。
- 8. 5 三月二十余日、右大臣邸の藤花の宴
- かの有明の君は、はかなかりし夢を思し出でて、いともの嘆かしうながめたまふ。
花宴 登場人物
- 光る源氏 ひかるげんじ 十八歳から十九歳 参議兼近衛中将 ····· (呼称)源氏の君・宰相中将・男君・君
- 頭中将 とうのちゅうじょう 葵の上の兄 ····· (呼称)中将。
- 桐壺帝 きりつぼのみかど 光る源氏の父 ····· (呼称)帝・主上
- 弘徽殿女御 こきでんのにょうご 桐壺帝の女御、東宮の母 ····· (呼称)春宮の女御・女御。
- 藤壺の宮 ふじつぼのみや 桐壺帝の后、光る源氏の継母 ····· (呼称)藤壺・中宮・后。
- 葵の上 あおいのうえ 光る源氏の正妻 ····· (呼称)大殿。
- 朧月夜の君 おぼろづきよのきみ 右大臣の娘、弘徽殿女御の妹 ····· (呼称)有明の君・六の君・女。
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。
公開日2017年9月25日/ 改定2023年1月27日