夕顔 あらすじ
源氏 17歳 参議兼近衛中将
源氏は六条御息所の処へ行く途中、五条に住む乳母を病気見舞いに訪ねる。惟光の母であった。その隣家の垣根に夕顔の花が咲いているのを見て、源氏は一枝所望する。中から童女が出てきて扇子に乗せて歌が差し出された。源氏の君だろうと推定した歌だった。
心あてにそれかとぞ見る白露の光そえたる夕顔の花
歌意 源氏の君かと推定します、白露をおいた夕顔の花のようなひときわ美しい御方は
女の住まいは、方違えで市井の雑踏が聞こえるような長屋に住んでいた。女の飾らぬ素直さ、男を信じ切ったやさしさに、源氏は惹かれて身分を隠して通うようになる。ある夜、源氏は女を近くの廃院に誘うが、女は夜半に物の怪に襲われて突然死んでしまう。惟光の助けで女を東山に葬った。女に幼女がいることも知り、夕顔は、頭中将が「雨夜の品定め」で語った、北の方に脅されて突然姿を隠した常夏の女であった。子を乳母の処に預けていた。
空蝉は、夫の任地へ下ることになり、軒端萩は、蔵人少将を通わせるようになる。
巻名の由来
源氏は、乳母の病気見舞いに立ち寄った、隣家の籬に咲いたを花を一輪乞うと、童女が扇子にのせ歌を添えて持ってきた。
心あてにそれかとぞ見る白露の光そえたる夕顔の花 (夕顔)(4.1)
歌意 源氏の君かと推定します、白露をおいた夕顔の花のようなひときわ美しい御方は
夕顔 章立て
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- 4.1 源氏、五条の大弐乳母を見舞う
- 六条わたりの御忍び歩きのころ、内裏よりまかでたまふ中宿に、大弐の乳母のいたくわづらひて尼になりにける、・・・。
- 4. 2 数日後、夕顔の宿の報告
- 惟光、日頃ありて参れり。
- 4. 3 空蝉の夫、伊予国から上京す
- さて、かの空蝉のあさましくつれなきを、この世の人には違ひて思すに、おいらかならましかば、・・・。
- 4. 4 霧深き朝帰りの物語
- 秋にもなりぬ。人やりならず、心づくしに思し乱るることどもありて、大殿には、絶え間置きつつ、恨めしくのみ思ひ聞こえたまへり。
- 4. 5 源氏、夕顔の宿に忍び通う
- まことや、かの惟光が預かりのかいま見は、いとよく案内見とりて申す。
- 4. 6 八月十五夜の逢瀬
- 君も、「かくうらなくたゆめて はひ隠れなば、 いづこをはかりとか、我も尋ねむ。
- 4. 7 なにがしの院に移る
- いさよふ月に、ゆくりなくあくがれむことを、女は思ひやすらひ、とかくのたまふほど、にはかに雲隠れて、明け行く空いとをかし。
- 4. 8 夜半、もののけ現われる
- 宵過ぐるほど、すこし寝入りたまへるに、御枕上おんまくらがみに、いとをかしげなる女ゐて、・・・
- 4. 9 源氏、二条院に帰る
- からうして、惟光朝臣参れり。
- 4.10 十七日夜、夕顔の葬送
- 日暮れて、惟光参れり。かかる穢らひありとのたまひて、参る人びとも、皆立ちながらまかづれば、人しげからず。
- 4.11 忌み明ける
- 九月二十日のほどにぞ、おこたり果てたまひて、いといたく面痩せたまへれど、・・・。
- 4.12 紀伊守邸の女たちと和歌の贈答
- かの、伊予の家の小君、参る折あれど、ことにありしやうなる言伝てもしたまはねば、憂しと思し果てにけるを、・・・。
- 4.13 四十九日忌の法要
- かの人の四十九日、忍びて比叡の法華堂にて、事そがず、装束よりはじめて、さるべきものども、こまかに、誦経などせさせたまひぬ。
- 4.14 空蝉、伊予国に下る
- 伊予介、神無月の朔日ごろに下る。女房の下らむにとて、たむけ心ことにせさせたまふ。
夕顔 登場人物
- 光る源氏 ひかるげんじ 17歳、参議兼近衛中将 ····· (呼称)君・帝の御子。
- 夕顔 ゆうがお 故三位中将の娘、頭中将の愛人 ····· (呼称)女・常夏・女君。
- 空蝉 うつせみ 故中納言兼衛門督の娘、伊予介の後妻 ····· (呼称)北の方・女房。
- 軒端荻 のきばのおぎ 伊予介の娘、紀伊守の兄妹 ····· (呼称)片つ方人・娘。
- 頭中将 とうのちゅうじょう 左大臣の嫡男、源氏の妻葵の上の兄 蔵人頭兼近衛中将 ····· (呼称)頭中将・中将殿・君・中将・頭の君大夫。
- 惟光 これみつ 大弐乳母の子、源氏の乳兄弟 ····· (呼称)惟光・大夫
- 伊予介 いよのすけ 空蝉の夫 ····· (呼称)伊予介・伊予。
- 右近 うこん 夕顔の乳母の子、夕顔の侍女 ····· (呼称)右近・右近の君・女。
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。章分け、登場人物等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。
公開日2017年2月28日/改定2023年1月27日