今月の言葉抄 2007年11月

池山直選手

池山直選手
池山直選手

岡山市職員の女子プロボクサー池山直選手(38)=岡山・フジワラジム所属=が18日、岡山市内でWIBA(女子国際ボクシング協会)世界ミニマム級タイトルマッチに挑み、同僚らの声援を背に念願のチャンピオンベルトを手にした。日本女子のWIBA現役世界王者は、ライト級のライカ選手(東京・山本ジム)に続き二人目。

この日はミニマム級(46.5キロ以下)2位の池山選手と1位のクリスティーナ・ベレンスキー選手(ハンガリー)が対戦。151センチの池山選手は最終の10ラウンドまで前に出るボクシングを続け、3-0で判定勝ち。3ラウンドにはダウンも奪った。

6年前まで「ただの」公務員だった。格闘技経験もなかったが「フィットネスジムに通う感覚」でフジワラジムに入会したところ、ミット打ちが決まる音に魅せられた。

03年8月、プロテストに合格。「とにかく突進」するファイタースタイルで、06年4月には日本ミニフライ級を制した。職場の同僚は「穏やかで、黙々と財務の仕事をこなす。絵に描いたような公務員で、ボクサーだなんて想像できない」。

練習中の池山直選手
練習中の池山直選手

公務員のため、ファイトマネーは辞退。池山選手を突き動かすのは、「もっと強い相手と対戦したい」という向上心と、勝利を喜んでくれる家族や同僚らの存在だ。

この日会場に駆けつけた市職員は約150人。「みんなの気持ちに応えることができて、ほっとしました」

2007年11月19日『朝日新聞』夕刊より

更新2007年11月19日