今月の言葉抄 2007年2月

老いのうた

『詩人たちの老いと青春』(創英社/三省堂書店 2003年 有馬七郎編訳)を読んだ。その中から好きな詩句を選んでみた。この本は8篇の詩(聖書から3篇)の紹介と、「老いと青春に関する名言・名詩選」の章から成っている。詩は全編を採録したいものがなかったので、感応した部分のみ抜粋した(始めの2篇)。その他は、「・・・名言・名詩選」の章からそのまま採りました。
最後の章句は、この本に触発されて読みなおしていた伝導の書から、追加した。「生ける犬は・・・」の表現が大変面白かったので、その句を挿入して詩を作ってみたが、言葉の深さは比ぶべくもない。「ある夜散歩をしながら」と題して、詩篇のページに載せました。(管理人)


やがて、銀の紐は切れ、金の器は砕け、水差しは泉の傍らで砕け、滑車は井戸の傍らで砕ける。
そして、塵はもとの土に帰り、霊はそれを与えた神に帰る。
(伝導の書12:6-7)

何人も年の数だけで老いるものではない。私たちは理想を失う時に老いる。
(「青春」by Ullman,Samuel)

老いた者が皆、賢いわけではなく
年取った者に分別があるわけでもない。
(ヨブ記32:9)

私たちが老いる時、より良くも、より悪くも老いることはない。より私たち自身のように老いるだけだ。
(Becker,May Lamberton)

安息は、もともと神から贈られたものであるに違いない。あなたは自分勝手に安息を取ってはならない。老年においても、病気の時でさえも。
(Hilty,Carl)

夜はまだ来ていない、私たちは光が失せるまで
労働から完全に解放されはしない。
私たちには為すべき、あえて為すべき何かが残されている。
老木でさえ幾つかの実をつけることがある。
・・・
老年は装いこそ異にしているが、
青春に劣らず機会に恵まれている。
夕べの薄明かりが消え失せると、
空は日中に見えなかった数知れない星で満たされる。
(Longfellow,Henry Wadsworth)

年をとると淡白になるので、私はこだわるように努めなければならない。
(Montaignne,Michel de)

年老いた人びとと若い人びとと、
皆、欲するままに自分の道を走る。
この古い世界は、何人にとっても永遠ではない。
彼らは行った、私たちも行く、他の人びとも来ては行くだろう。
(Omar Khayyam)

女たちが座り、動き回っている、老いた女もいれば、若い女もいる。
若い女は美しい―しかし、老いた女は若い女よりさらに美しい。
(Greek Proverb)

すべて生ける者に連なる者には望みがある。生ける犬は、死せるししにまさるからである。 生きている者は死ぬべき事を知っている。しかし死者は何事をも知らない、また、もはや報いを受けることもない。その記憶に残る事がらさえも、ついに忘れられる。 その愛も、憎しみも、ねたみも、すでに消えうせて、彼らはもはや日の下に行われるすべての事に、永久にかかわることがない。
(伝道の書9:4-6 口語訳)

更新2007年2月22日